『キナナキノ森』感想


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タイトル キナナキノ森外部サイトへリンクします。
ジャンル 大体R15 / 乙女現実的絶望ノベル
発売日 2009/02/14(フリー公開)
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評価点
80 / 100
最大瞬間風速 -
総プレイ時間 8.3時間
主人公 7/10
お気に入り 野山 かぼ
ユーザビリティ 7/10 7/10
グラフィック 7/10 7/10
ムービー 7/10 7/10
主題歌 7/10 7/10
BGM 7/10 7/10
ストーリー 8/10 8/10
演出 7/10 7/10
感動 7/10 7/10
読後感 7/10 7/10

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0. まずは一言
 主人公(女の子)と魔王様の夫婦漫才に心ゆくまで笑い、乙女たちの絶望に心を痛めるヴィジュアルノベル。とても楽しくて幸せな空間から、(ヒロインや読者を)一気に谷底まで突き落す描写には容赦がありませんでした。悪役に業を煮やし、主人公たちが囚われた絶望に憂鬱となる場面もあります。しかし、そこから主人公が辿り着く輝かしい終幕には、こんな世界でも明日も生きていこうと思わされました。心の浮き沈みの大きな作品でしたが、爽快な心持ちで物語を読み終えることが出来ました。

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1. 夢を諦めた人たちへ
 夢を叶えるための拠り所。それは繋いでいる手かもしれないし、あるいは、1番初めの気持ちなのかもしれない、というお話。
1.1. 逃避を続ける主人公
 前半は楽しい日常と住人との触れ合い。かぼのころころ変わる表情パターンがとても面白かったです。オタク知識および言葉遣いとデフォルメの表情がとても合っていて、とても笑わせていただきました。冒頭では理不尽なほどに横暴だった魔王様も、OPムービーを終えてからは急速に丸くなり、ホッケを愛する彼に萌えるノベルとなりました。

 コミカルな夫婦漫才を十分楽しんだところで、物語は加速度的に展開していきます。リコロの病気やアレクが絵を燃やすエピソードなどで助走をつけ、ダイさんこと松尾の襲撃までの流れには一気に引き込まれました。アレクのように相応の能力を持ちながら、自分の表現したいものでは社会に受け入れられないのはとても悲しい事です。妥協するか諦めるかは人それぞれですが、(凡人の身としては)贅沢な悩みに感じます。また、極悪人の松尾にはすっかり騙されました。プリン、かぼ、アレクに与えた痛みは許しません。

 なお、捕捉エピソードにある『知りたくなかった事実』はいくらか衝撃的。CGモードに見たことがないえっちなイベント絵があると思ったらこれですか。寝ているうちにかぼの処女が奪われていたなんて、そんな真実は知りたくなかったですよ……。
  • OPムービー
     古代エジプトの壁画を思わせる緊張感のあるオープニング。初見時には期待感を与え、プレイ後にはあらすじであったことがわかる良いムービーです。
1.2. Second
 物語は遡って約1年前のあづさへ。クールダウンを兼ねた彼女の新生活はとても魅力的でした。仲間が出来て、母と和解して。大きな悩みがちょっとしたきっかけから解決し、素直になっていくこのお話には心温まります。彼女の「ありがとう、そしてごめんなさい」は心に残る言葉でした。そして、それは崩壊への合図でもあったのです。

 突如奪われる幸せな時間。母が親友らのいじめによって自殺し、父には裏切られ、担任および校長先生に騙され、そして弁護士にも欺かれて。再び物語に強く引き付けられ、何度も感嘆の声をあげたくなりました。こんな許せない人たちは創作の中だけであって欲しいものです。

 この第2章は単独で十分面白いですが、かぼの物語とのつながりは薄く、作品全体としてやや浮いてしまっているという見方もあると思います。ここで、あづさの夢は職業に直結しないささやかなものです。幸せはとても側にあることと、その夢を自分の意思(諦念)に関係なく奪われたこと。テーマ「夢を捨てた貴方へ」を語る上で、大切な要素ではあると思います。ただし、対比関係が活かせているのかはよく分かりませんでした。
  • 親友ら
     分かり合えたという勘違い。5人のうち4人が理由も分からないまま殺されていくのが何とも言えません。
  • 第2章
     第1章での伏線(美術館、書店)をよく回収しています。
  • 浮いてしまっている
     「キナナキノ森」の住人とかぼの成長物語が「夢」を描く上では必要になってくるはずなのですが……。
  • あづさ
     どうして彼女が(物語を描くために)こんなにも不幸な目に合わなくてはならないのか、と思わせるほどまでにはあづさの魅力はもう1歩だったように思います。
1.3. 60L(おわり)
 物語は再びかぼの元へ。あづさの複雑な願いの答え合わせには少し拍子抜けでしたが、かぼの過去については所々心に来るものがありました。第1章におけるアレクの「誰もが他人を見下す心を持ってる」という言葉が効いてきます。また、彼女の挫折を見ると、作品を見て喜んでいる人々を否定するアレクをかぼは許せなかったことが良く分かりますね。

 エピローグでの一幕。居酒屋でアルバイトするかぼと少女漫画家のイシマツさんの再会はとても爽快な落ちがついていました。34歳のヒロインですけど、夢に向かって頑張る彼女は輝いています。
  • 誰もが他人を見下す心を持ってる
     人は、他者を否定し、他社の不幸を見ることで、自分を守るのですよ。
1.4. 最後に……
 夢を抱くきっかけとなった想い。彼女たちはそれを支えにこれからも頑張っていく。これは、「そんな1番大切な気持ちを思い出してください」という夢を諦めた人へのメッセージ。


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Last updated: 2012-06-16
First created: 2012-04-07