『しろくまベルスターズ♪』感想

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ジャンル AVG
発売日 2009/12/11
しろくまベルスターズ♪
評価点
71 / 100
最大瞬間風速 りりか(80/100)
総プレイ時間 49.6時間
主人公 7/10
お気に入り 月森 りりか
ユーザビリティ 8/10 8/10
グラフィック 8/10 8/10
ムービー 7/10 7/10
主題歌 8/10 8/10
BGM 8/10 8/10
ストーリー 7/10 7/10
演出 8/10 8/10
感動 7/10 7/10
読後感 8/10 8/10

(評価点や作品に望むこと等については「レビューポリシー」をご参照ください。)


0. まずは一言

現代サンタというファンタジーを題材に家族愛を描いたビジュアルノベル。イブの夜に急に雪が降り始めたら、もしかしたら私たちの町にもサンタクロースがやってきたのかもしれません。ハッピー・ホリデーズ!それはそうと(略)


Attention!!

この感想はゲームをクリアした人に向けて書かれています。
まだゲームをクリアしていない人が読むと、作品の面白さを損なうことがありますので、ご注意ください。

1. 作品全体について(ネタバレ小)

1.1. あったらいいなと思わせてくれるおとぎ話

科学とおとぎ話が融合した現代サンタが主役のファンタジーです。人口4万人弱の地方都市「しろくま町」を舞台に、自分たちのなりたいサンタを目指していく成長物語です。テキストは総じて読みやすく、クリスマスやサンタという制約の中では一定の物語を作れていたと思います。ヒロイン達との共同生活も楽しかったです。

しろくま町の一員となるべくおもちゃ屋さんを営みながら、ゆかいな住人と日々触れ合うサンタ達。明確な悪意は存在せず、過去や自分の壁に挑み、努力は報われるとても優しい世界でした。

  • 一定の物語

    サンタの諸設定に踏み込んではいけなかったり、物語を進めるための道具としてサブキャラクターを用いているふしがあったりと、手放しで褒めているわけではないです。

  • ゆかいな住人

    人車軌道マニアの進さんは、ゆのはな町の電気屋再来です。彼だけがマニアというわけではなくサンタチームもお菓子、レトロゲーム、城、戦闘機などに魅入られた人物がいます。

  • とても優しい世界

    この作品の作りは、ブランド過去作の『ゆのはな』を思い出させます。出てくる脇役みんながとてもいい人なのです。

1.2. 主人公の性格は統一して欲しい

本作の主人公こと中井冬馬くんは、トナカイ職一筋だったせいか少しだけ不器用なところがあります。ですが、真面目で良い主人公だと思います。……ただ、ライター3人制の弊害できららルートのみ途中で主人公の性格が変わってしまいます。

  • 中井冬馬

    井の中の蛙、冬空でそりを引く馬

1.3. 可愛いグラフィックと雰囲気を作るBGM

藤原々々さんの絵は今作も非常に綺麗で、心なしか幼く見えるヒロイン達の絵はとても可愛くて癒やされます。イベント絵総数はやや少なめですが、鳥取砂丘さんの微笑ましいSD絵が十分すぎるほどそれを補っていました。

Vocal曲はオープニング、挿入歌、エンディングのすべてが好きになれましたし、BGMも雰囲気を作り出している曲が多かったです。

1.4. 掴みの演出はバッチリ

ゲームをプレイしてまず目にするのがカペラで空を駆けるエフェクトです。これがセルヴィのスピード感をよく表していました。続いて、ななみとりりかの掛け合いやじゃんけんエフェクトなど、読者の心を掴むためか冒頭から演出に力を入れていたように思います。


2. 個別シナリオやヒロインについて

サンタクロースに大切なこと

おとぎの世界の住人である若いサンタ達は、どんなサンタにあるいはどんなトナカイになりたいかを一生懸命探して実現していこうとします。しろくま町の人々と触れ合いながら、仲間と切磋琢磨しながら答えを手にする成長物語を、この作品は描いていました。

諸設定に疑問を挟みたくなるおとぎ話

現代サンタの諸設定は、ファンタジーと現代社会の融合を試みていて大変興味深いです。ただ、ファンタジーの世界観において必要以上に現実的な話を持ち出すので、その諸設定が気になってしまう場面も多いです。サンタが所属する組織ノエルおよびサンタを養成するサンタ学校など背景設定や、サンタの秘密の重要性や小遣い稼ぎ程度のおもちゃ屋の経営など、気にしない方が幸せなことはいっぱいあります。おとぎ話において重視するべきは、彼らが何のために何をするかでしょう。

  • ノエル

    しろくま支部にキャロルが透1人しかいないのは、それだけ人員が不足しているのでしょうか。

  • サンタ学校

    靴下にサンタになりたい旨を書いた手紙を入れると入学できるようです。しかし、サンタの秘密を守ると両親への説明は困難でしょうし、退学者は秘密を漏らさないのでしょうか。

  • サンタの秘密の重要性

    街中でサンタとかトナカイとか職名で呼ぶ彼らに守秘義務なんてものがあるようには思えません。サンタであることを打ち明けてはいけない明文規則はないようですが、はてさて。

  • 気にしない方が幸せ

    ななみシナリオのように、物語設定を共有できないためにその打開策の価値を計りかねて物語に入り込めない面も一部あります。

2.1. 星名 ななみ(7/10)/ ずっと見ていたらしいです

(C) Willplus
(C) Willplus

川柳にオリジナルソング、果ては間違った諺が口癖のななみん。いつでも明るく元気な彼女の日常はとても楽しいコメディでした。恋愛面でも、冬馬が半ば必死になって告白しようとする場面や、初えっち後にななみんが1人でドギマギ悶える場面など微笑ましいです。

他のルートでは、ややおバカなキャラとして扱われがちですが、サンタチームのリーダーとなったななみルートでは、その持ち前の心の強さを発揮していきます。一人一人に幸せを手渡すサンタになりたいななみんは、移動型店舗るんるん号こと悶えるを引いてアイちゃんを始めとしたニュータウンの子供達と触れ合い、街に息づいたサンタへとなっていきました。

このルートだけは若干謎解き風味なところもありました。ご飯の歌、おかかのおにぎり、カサカサの手、子供の頃に見た空といったワードが、母との繋がりという感動的な真相にたどり着いたときは、少し涙目になってしまいました。

1つ惜しいと思ったのが、氷灯祭パレードでルミナの道を作る場面ですね。急な停電によりカペラのスノーフレークを目印として利用しようとするわけですが、あんなに統制取れた移動は出来ませんよね。城さんは彗星の導きに付いていきそうですけど、他の人たちはどうでしょうか。例えこれが正しい方法だったとして、現代サンタについても情報不足から打開策の凄さがあまり伝わってこない点も残念でした。

  • ななみん

    CVの中で登場人物の性格を最も表していたのがななみんだと思います。すずりん、サンタ先生、ロードスター、進さんなどのCVも好きです。

  • 楽しいコメディ

    このシナリオはサブカルチャー系のパロディも多く、張り子人形劇団ではニコニコ動画や『ジョジョ』『サザエさん』など様々なものが登場します。また、影でサンダースがしろくま町統一の野望を掲げていました。

  • 恋愛面

    初キスシーンでななみんの顔が間近に迫ったCGでは、本気でドキドキしました。

  • 初えっち

    サンタ3人で対策会議まで開いている場面も面白いです。すずりんルートでのサンタ先生の保健体育も良かったです。

  • 悶える

    やっと実った初恋でしたから。りりかルートでは少し嫉妬が窺える描写もあります。

  • オアシス

    流れのないルミナは霧や淀みとなって障害になる一方で、オアシスやバルーンによってルミナを補給出来るらしいですね。……よくわかりません。

  • 街に息づいたサンタ

    他のルートでは、このおもちゃ屋があまり町に溶け込んでいるようには思えません。

  • 子供の頃に見た空

    ツリーが休眠した理由とか、ツリーハウスの祠や赤天狗とか、冬馬の師匠とか、いろいろ未使用の設定が残っているのですよね。

2.2. 月守 りりか(7/10)/ 帰る場所、見つけた

(C) Willplus
(C) Willplus
(C) Willplus

NY本部から左遷されたためか、若干周りを見下し気味のりりかる☆りりか。彼女の生意気で我が儘な態度に嫌気が差す人もいるかもしれませんが、ギリギリ嫌にならないラインが考えられたキャラクターだと思います。逃げ道を用意しつつ自らの本心を隠し、常に優位性を保たずにはいられない弱さが見えてくると、そこに微笑ましさを感じるようになります。クリスマスイブ直前のバカップル振りは最も強力で、冬馬くんと呼んだときの可愛さは抜群でした。

サンタを信じていなかった子供にまでプレゼントを配りたかったりりか。彼女とジェラルドの過去を紐解いていく過程は面白かったです。ラストの編隊を組んだテンペスト撃破と、つぐみん(と小六)に届いたオーロラまでの展開はよくできていたと思います。特に、サンタを否定していたつぐみが「メリークリスマス」と叫ぶ場面には思わず涙ぐんでしまいました。

なお、本作でのえっちシーン担当と言えば、月漏りりかさん。回想15枠の内8シーンを占めています。言葉責めだったり、秘密特訓の手コキだったり、黒スジパンツだったり頑張っています。ところで、初えっちシーンがとても短かったことが、とても不思議でなりませんでした。あのシーンは、先行していた前戯に対してファーストキス、傷心状態のりりかと心の触れ合いをもっと描くものだとばかり思っていました。

  • りりかる☆りりか

    セリフの最後を高音に上げ、少しキンキンしているのが気になりました。

  • 自らの本心を隠し

    国産に恋する気持ちを僅かでも自覚し始めた時が顕著です。

  • バカップル振り

    テンペストに敗れ自暴自棄になったりりかと、再戦直前に復活し演技をしなくなったりりかと、どちらも良いですよね。テンペストによる墜落と冬馬の父の死がここでリンクしています。

  • テンペスト

    すずりんが雪を呼び寄せるならば、りりかが暴風を呼び寄せても不思議ではないです。このルートだけテンペストが発生するのは、りりかの心境の変化による無自覚の力が行使されているのでしょうか。

  • つぐみ

    新聞記者がそばにいるにもかかわらず注意も払わずに訓練に勤しむサンタ達もどうかと思いますが、ツリーハウスに張り込んで真実を暴けないつぐみも大概ですよね。読者に不愉快な思いを与えるだけのキャラクターになりかけてしまいました。

  • えっちシーン担当

    シーン外でも、透のことを「㍉㍑㌢㌧㌢㌧」なんて言うなど発想豊かです。「精神注入棒」は少しだけ期待してしまいました。

  • 月漏りりかさん

    国産も、おしっこ飲み過ぎで頭おかしくなっていますよね。

  • 秘密特訓の手コキ

    リアルタイムで大きくするシーンなんか大好きです。

  • 初えっちシーン

    「これ絶対入ってるよね」と揶揄されるような絵で初めてを描かれるとは思っていなかったです。おかげで、その後のテキストと辻褄が合わなくてとても悩んでしまいました。

2.3. 柊ノ木 硯(7/10)/ 吊り橋効果のジンクスだとしても

(C) Willplus
(C) Willplus
(C) Willplus
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よだれを垂らさずには寝られないすずりん。大手玩具メーカーHOLLIESを経営する一家のお嬢様ということで、引っ込み思案な上、金銭感覚と時間感覚にかなりのズレがあるようです。(視点変更がやや雑ながらも、)冬馬とすずりんのすれ違いや思い違いが微笑ましく描かれていて良かったです。また、冬馬と両想いになり、彼のことで頭がいっぱいなすずりんはとても可愛かったです。

雪女体質の克服さつきちゃんへのプレゼントを巡る物語は、キーアイテムである手紙の配置がとても良かったように思います。しかしながら、その総決算である両親の関係修復はかなり強引でした。ユール・ログの進化と合わせた超長距離射撃はルミナの奇跡として受け入れられますが、人の心にまで干渉するのはあまり良いこととは思えません。エピローグで、サンタの奇蹟ではなく家族の思い出であると補足はされます。ただそれは、(きららルートの解釈で言えば、)さつきの心の底からの願いが形を変えて叶ったものなのでしょう。

  • お嬢様

    世間とずれた部分があるというだけで終わってしまったのは勿体ないです。願いを叶えるサンタ(おとぎ話)とあらゆる新作おもちゃを作りだす大手おもちゃメーカー(現実)の戦いなんてストーリーは……、似合いませんね。

  • かなりのズレ

    そのため、容姿(黒髪ロングストレートで童顔)ならび性格(凜として清楚で上品な大和撫子)が非常に好みのヒロインでありながら第一印象が誰よりも悪いという珍しい経験をしました。

  • 彼のことで頭がいっぱいなすずりん

    「ななみのテーマ」が掛かるときが他のルートに比べても多かったように感じます。

  • 雪女体質の克服

    お守りのサンタ先生人形を少女にあげるシーン。硯の成長を示し、人々を笑顔にするサンタの第一歩としては何となく唐突なシーンです。

  • さつきちゃん

    ヒロインにして欲しいくらい可愛い子です。

  • 手紙の配置

    恋人への手紙、サンタへの手紙、そして破り捨てられた手紙。

  • 両親の関係修復

    どーしよーもないことと、どーにかなることと。金で解決してはいけないことと、ルミナで解決してもいけないことと。

  • 心の底からの願い

    あるいは、両親にも仲直りする心の準備はあったのかもしれません。どちらにせよ、イブの日にプレゼントを渡す時点では心に干渉したようにしか見えないのが問題なのです。

2.4. 鰐口 きらら(7/10)/ 夜空の星座と、地上の灯火

(C) Willplus
(C) Willplus
(C) Willplus
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きららの夢は、しろくま町職員となって(ルミナではなく)自分の手で生まれ育った町の人々を幸せにすることでした。そこには、ななみん達に奇跡の価値(サンタの存在意義)を問うアンチテーゼの趣が多少ながらあります。彼女のシナリオは、しろくま町の物語として、これまでのサンタ達の物語とは大きく様変わりしていました。おもちゃ屋の業務や夜の射撃訓練は省略され、冬馬達がほらあなマーケットの人々との親交を深める場面を中心に進めていきます。

商店街の人々との触れ合いは楽しく、みすずさんの語る夢の残骸や、神賀浦さんの打明け話など、1つ1つの話題は興味深いものもありました。しかしながら、クライマックスであるイブの展開だけは、どうも納得しかねます。結果的には良かったものの、鳴らないカリヨン塔(クレイジーズの願い)のために、サンタの秘密を明かし、なおかつニュータウンへの配達をストップさせてもいい理由は何処にあるのでしょうか。

また、ななみんと冬馬の性格が他の3ルートと比べて著しく異なることも、楽しめなかった大きな原因でした。ななみはあれほどまで考えなしではないですし、主人公も察しの悪いただの食いしん坊の酔っ払いとなってしまいました。

  • しろくま町職員

    漢字がないと嬉しいきららさん。そして、英語は悪魔の言語と言い張る。ことあるごとに公務員試験の勉強から逃げ出しており、その本気さを信じることが出来ません。2年連続不合格とはいえ、これで本気で落ち込まれると非常に困ります。

  • みすずさん

    憎まれ口の中に優しさが垣間見えるとても優しいお祖母ちゃんです。

  • クライマックス

    冬馬ときららの根本的な問題の解決も今ひとつでした。夢を取るのか、それとも恋人を取るのか。「そんなこと」と言えるくらい、男女が出会えばよくあることなのでしょう。結末では、いつでも繋がっている確信を得た2人は、当初の夢を妥協せずに貫くことを決めました。しかし、実際に冬馬が転勤になったとしたら、きららはともかく冬馬は耐えきれないのではないかと思うのです。濃い甘酒を注入している場合ではありません。

  • 理由

    ルミナの共鳴現象により感覚を共有する奇跡くらいは平気で受け入れますが、このような合理的でないイベントはいくら感動を装っても苦手です。

  • 主人公

    彼の性格がおかしくなるのは主にきららに夢中になりすぎている期間で、ルートの中でも性格が大きく異なります。あ、なるほど、これが恋の病ですか。(違います)


3. Driving for fairy tale. / おとぎ話は続く

すべてヒロイン達が夢に向かって努力した結果の最終エピローグ。その主役は間違いなくアイちゃんでした。かつて、この世界を冷めた目で見ていた彼女が、おとぎ話の一員を将来目指すことになるのかもしれません。おとぎばなしの終幕として、とても綺麗なグランドフィナーレでした。

  • 努力した結果

    多くの人にとって最良の未来ができる限り選択された世界(ルート)を表す用語が欲しいです。ゲーム理論における「部分ゲーム完全均衡点」、経済理論における「パレート効率性」のようなものです。

  • アイちゃん

    フルネームは悠木アイ。ほとんど関係ありませんが、何かを頑張るときはその困難に立ち向かう「勇気」と支えてくれる仲間の「愛」だけが友達なのですよ。(ななみルート第7話では、「幸せになる勇気」なんて言葉が出てきます。)

  • おとぎ話の一員

    セルヴィの光が見えるということは、おそらくサンタクロースへの適正があるのでしょう。透がトナカイを務めるソリに乗ってプレゼントを配る未来もあるのかもしれません。



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Last updated: 2013-05-18
First created: 2013-05-11