『クロノベルト ~あやかしびと&Bullet Butlers クロスオーバーディスク~』感想

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タイトル クロノベルト
~あやかしびと&Bullet Butlers クロスオーバーディスク~外部サイトへリンクします。
ジャンル 学園青春伝奇&ファンタジー執事のクロスオーバーAVD
発売日 2008/05/23
propeller燃焼系3本パック

評価点
73 / 100
最大瞬間風速 セルマ(75/100)
総プレイ時間 20.7時間
主人公 8/10
お気に入り トーニャ
ユーザビリティ 7/10 7/10
グラフィック 7/10 7/10
ムービー 7/10 7/10
主題歌 7/10 7/10
BGM 7/10 7/10
ストーリー 7/10 7/10
演出 7/10 7/10
感動 7/10 7/10
読後感 7/10 7/10

(評価点や作品に望むこと等については「レビューポリシー」をご参照ください。)


0. まずは一言

『あやかしびと』および『クロノベルト』のファンディスク、もとい程良くまとまった続編。異なる2つファンタジー世界のクロスオーバー世界を舞台に、アルフレッドおよび九鬼先生の救済を描いています。

  • ファンディスク

    ファンが"fan"と"fun"のどちらにあたるのかについては議論がありますが、どちらかというとここでは九鬼先生好きに向けたfan diskなのではないかと思います。


Attention!!

この感想はゲームをクリアした人に向けて書かれています。
まだゲームをクリアしていない人が読むと、作品の面白さを損なうことがありますので、ご注意ください。

1. 作品全体について(ネタバレ小)

両作品を違和感なくクロスオーバーさせていると思います。登場人物たちが異なるファンタジー世界に触れたときの反応や、それを成立させる設定や物語が上手く作られていました。

本編の2人に加えて、アルフレッドと九鬼先生が物語の主人公を務めます。全員が素晴らしい人たちばかりでした。

新曲の主題歌がありますが、その他のBGMは基本的に前作の物を流用しています。とはいえ、『あやかしびと』の「五位鷺」が何度聴いてもいいですね。CGについては、新作のSD絵が今回もとても良かったです。戦闘の演出も、今作においても十分頑張っていました。

  • 本編の2人

    彼らが主人公となる一般的な後日談がないのは少し寂しいですね。

  • CG

    雲外鏡の立ち絵が茶髪にもかかわらずテキストで黒髪と表記する辺り、詰めが甘いです。開始2分でやる気を失わせてくれました。


2. 個別シナリオやヒロインについて

虚無を抱えた修羅と、憎悪に染まった悪鬼が、一時の旅を経て人間らしさを取り戻す物語。ファンディスクならではの救済でした

2.1. かりそめの旅人たち(7/10)/ アルフレッド in 神沢学園

『Bullet Butlers』においてただひたすら周囲に迷惑を掛けただけだったアルフレッド。その彼が神沢学園にて情操を養い、愛する物を護るという生きる目的を手に入れます。前作でその胸中を理解し得なかった彼ですが、読了時には好感を持つことが出来るようになりました。

今回も日常パートの雰囲気の良さやトーニャによる面白さは健在でしたが、些か感情が高揚しすぎているようにも思えます。本来は、冷静な切り返しや腹黒い笑みと、藤野らんによる独特なイントネーションのCVとの組み合わせが絶妙な登場人物でした。しかしながら、ファンディスクでよくあるようなディフォルメにより、その良さが半減している印象を受けます。コメディ自体も、登場人物の掛け合いよりパロディの要素が強く出ていました。

ベイルに続きルダの擬人化も見られる本編ですが、銃の時のクールなイメージが好きだったこともありかなり戸惑いました。煩わしい程にヤンデレ並みの一途さを見せる彼女は、(せめてクーデレのような)大人の女性であって欲しかったです。

  • 感情が高揚しすぎている

    ウラジミールの影響を受けすぎたと本人は言っていますが、根本的な部分で前作とは別人になっているような気がしてしまいます。

  • ルダの擬人化

    初登場時にすぐルダだと気付くわけですが、その精神的幼さに戸惑いました。なお、ルダ以外に濡れ場が要らない作品でしたね。

2.2. 復讐するは神になし(7/10)/ 九鬼耀鋼 in ゴルトロック

息子を奪われた九鬼先生の復讐が、実に意外な方法で果たされるエピソード。こちらは終始シリアスな雰囲気で、燃焼系という面ではソレイシアの森での戦闘が格好良かったです。一奈を殺すのではなく一奈が再び殺戮者になる可能性を殺すことで、まさか復讐相手が最初から存在しなかったことにするとは、これ以上の完遂はあり得ないのかもしれません。強い力は可能性の幅を広げるものであると双七(涼一)に諭したように、九鬼先生は一奈にも新たな道と可能性を与えました。クロノベルト編での最終エピローグ(息子との再会)は狙いすぎの感はありますが、素晴らしい終幕だったと思います。

また、氷鷹一奈に対する悪感情をどうにか取り除こうとする思いもあるようです。『あやかしびと』において(おそらく最も)嫌悪されるべき人物である彼女に、このような救済が与えられるというのも、いくらか納得しがたいところです。ただ、生殺与奪の選択肢が与えられたり、(誰にも愛されず、誰も頼ることが出来ず、殺戮者になるに申し分ないきっかけが有るとはいえ)彼女の罪を強く糾弾したりなど、読者の心情を慮った展開が用意されていました。

  • 復讐するは神になし

    本来、嫌なやつや悪いやつにはいずれ天罰がくだるから、復讐だの制裁だのという物騒なことは天におわす神様に任せてしまえという新約聖書の考え方がある。この場合は、神ではなく自ら一奈を裁きますよ、という物語です。

  • ソレイシアの森での戦闘

    あえて瑕疵を挙げるならば、この戦闘が本質(復讐と救済のテーマ)との関連が弱いということでしょう。

  • 一奈を殺す

    一奈を殺すことは、九鬼が新たな一奈になることに他なりません。この場合、幽世(回廊)での感動的な再会も影を落とすものになっていたことでしょう。

  • このような救済

    九鬼先生と一奈の相互救済ですが、コゼットと一奈の相互救済(この場合は共依存か?)という面もあります。もともと『Bullet Butlers』では、このような関係が多く見られます。

2.3. クロノベルト(7/10)/ エンディングまで泣くんじゃない(?)

孤独を埋めるために自らの世界を欲した雲外鏡が招いたのは2つの世界の危機。今回の敵であるマグダラは無邪気なしゃべり方や容姿がとても可愛いのですが、その実力と性格は3作中で最も凶悪な存在です。ところが、彼女は途中退場してしまい、このエピソードのラスボスはレギオンが務めることになります。彼(?)には一切魅力が無く、そのためどうしても盛り上がりきらないお話だったと思います。ただ、神となったレギオンの正体に九尾の狐を絡めてきたことは素直に感心しましたし、意表を突かれたセルマの活躍にも感動しました。

1つ気がかりなのは、この是と承認されたクロスオーバー世界がその後どうなったかということ。ここでの記憶が本来の世界へ届いた場面は描かれますが、メインヒロインの欠けたこの世界で主人公たちは幸せを見つけることが出来たのでしょうか。

  • 自らの世界

    2つのエピソードでの記憶がアルフレッドや九鬼先生たちにしか反映されていないことについて説明はあるものの、物語構成としてはどうも勿体ない気がします。

  • 雲外鏡

    雲外鏡が魂を分け与えて創った妹の鏡はどうも反応が鈍いですよね。魔法でゴーレムを創っても簡単な命令しか与えられない現象に似ているのでしょうか。

  • その実力

    聖導評議会本部地下に隠されている本体を消滅させない限り倒せません。よって、彼女が打ち倒されるときは聖導評議会に完全勝利するところまで物語が書かれていることでしょう。あるいは、内部の駆引きであっさり殺されているのかもしれませんが。

  • セルマの活躍

    その後のベイルによるカットスロート(狂犬刃)は、やはりご都合主義が過ぎるのではないかと思います。



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Last updated: 2013-11-02
First created: 2013-10-26