『こいとれ ~REN-AI TRAINING~』感想

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タイトル こいとれ ~REN-AI TRAINING~外部サイトへリンクします。
ジャンル 恋愛力を鍛えるトレーニングADV
発売日 2007/06/29
こいとれ ~REN-AI TRAINING~
評価点
67 / 100
最大瞬間風速 羽音(80/100)
総プレイ時間 36.4時間
主人公 4/10
お気に入り 沢崎 海
ユーザビリティ 7/10 7/10
グラフィック 7/10 7/10
ムービー 7/10 7/10
主題歌 7/10 7/10
BGM 6/10 6/10
ストーリー 7/10 7/10
演出 7/10 7/10
感動 6/10 6/10
読後感 7/10 7/10

(評価点や作品に望むこと等については「レビューポリシー」をご参照ください。)


0. まずは一言

本気の恋愛を求めて活動する恋愛部を舞台に描いた,本当に唯の恋愛話.サブヒロインのお話や恋愛講座に惹かれたものの,主人公やヒロイン達の言動に耐えかねる場面も多かったです.

  • 推奨攻略順

    時系列順に、羽音→小萌→うたは→ゆう→恋子(ルート順固定)の攻略順が適切かと思います.


Attention!!

この感想はゲームをクリアした人に向けて書かれています。
まだゲームをクリアしていない人が読むと、作品の面白さを損なうことがありますので、ご注意ください。

1. 作品全体について(ネタバレ小)

1.1. 恋愛部という発想は面白い

恋愛を主題としたファンタジー要素皆無の物語は意外と少ないのかもしれません.主人公が所属するのは恋愛部という学園公認の部活動.ここでは,恋愛に強いコンプレックスを持つ者たちが,本気の恋愛を見つけるため真面目に活動 しています.主な活動内容は,週1回行われるミーティング(恋愛講座)と1年通して繰り広げられる恋愛バトルロワイアル(ラブロワ)からなります.

恋子を中心にディスカッション形式で行われる恋愛講座は,恋愛を生化学や哲学などの面から考察しており,序盤から大変興味を惹かれました.(ストーリーにあまり関係がなく,加えて実用的ではない感もありますが)この講座だけでも,この作品をプレイする価値はあると思います.

一方で,ラブロワについてはもう一押し足りなかったと思います.たしかに,物語のきっかけは作れていますし,比嘉の工作などによる駆引きは面白いところもあります.しかしながら,他プレイヤーのパートナーを恋愛完了させるルールが,本気の恋愛を見つけることに結びつくとは思えません,もともと,カナ先輩の(女の子として)恋愛したいという欲求から始められた「知的ゲーム」ではありますが,もっと重要な要素(恋愛トレーニング)として扱ってほしかったです.

シナリオ全体としては,個別ルートよりも共通部分(半個別含まず)の方が楽しめました.序盤の謎解き要素のある篠原姉妹の物語や可愛い海ちゃんのお話などが良かった一方で,後半のヒロインになるほど楽しんだり感動したり出来る場面に乏しくなっていきました.

  • 意外と少ない

    想いの積み重ねよりも伏線の積み重ねの方が人の心を動かしやすいのでしょうか.

  • 学園公認の部活動

    活動内容不明の部活動が学校側から公認され部室まで与えられている現状はかなり不自然です.鹿子木家の権威というものがたびたび登場しますが,そのお約束だけで片付けて良い問題なのかは疑問です.

  • 真面目に活動

    実際のところ,攻略対象はラブロワ参加者のみであるため,出会い系サークルという憶測(誹謗)が真実となってしまっています.作品構造としてはあまり良くありません.

  • 恋愛バトルロワイアル(ラブロワ)

    すべての敵パートナーと恋愛完了すれば勝利という拠所があるので,ハーレムエンドがないのは設定としては勿体ないですが,作品テーマとしてはあっては困るところです.

  • 駆引き

    恋愛部を最も嫌っている比嘉が,誰よりも敵パートナーを陥れようとしている逆転現象が起きています. 彼が勝利したとき,ルール上カナ先輩が賞品を挙げられないと気付いたとき,彼はどのような反応をするのでしょうか.

  • 恋愛完了させるルール

    自分がえっちしたことを申告させるとはなかなか鬼畜(おにちく)なルールです.それにしても,この申告義務はどのように担保されているのでしょうか.

  • もっと重要な要素(恋愛トレーニング)として

    そもそも,ラブロワに負けた者が恋愛の勝者であるため,このゲームにこれ以上の意味を持たせるのは難しいかもしれません.

  • 半個別含まず

    オプション画面にカレンダーと,この月には入れるルートのキャラクターが表示されるのも珍しいですよね.大部分は共通部分でありながら個別ルートみたいな構成となります.

  • 謎解き要素

    ミスリードさせる他視点の使い方は本当に良かったです.

  • 楽しんだり感動したり出来る場面

    個別ルートに入ると伏線が強調されすぎてひっくり返されたときの驚きが少なめになってしまいます.

1.2. 生活能力が皆無の主人公には殺意を抱きます

共通部分が面白いとはいえ,最序盤からたびたび描写される主人公の生活能力の無さに苛立ちを抑えられませんでした.これまで母親に頼りきりだったとしたら,学園1年生の男の子が掃除や洗濯,炊事を満足に出来ないことも不思議ではないのかもしれません.しかしながら,妹がせっかく出してくれた春服を,クローゼットが冬服でいっぱいだったからと言ってそのまま春服を押入れに戻してしまう主人公は度が過ぎていたと思います.

さらに,恋愛方面では幼なじみの恋心に気付かないふりを続け,日常生活では察しの悪い言動を繰り返すなど,ゲームディスクを叩き割りたくなるくらいに殺意を抱きました.終盤でかなりまともな状態まで回復するのですが,ここまで初期値を下げておいてこれを成長物語として感心できるかというとかなり疑問です.

また,この主人公が素直に伯母(詩織さん)一家を頼らずに,自らの我が儘で妹の面倒を1人で見ようとすることも不快でした.それが真に海のためにならないとは理解しているのに,妹を頼むという亡き母との約束に囚われ意地を張ってばかりでした.その理由の一端が従姉ルートの最後に明かされますが,遡及的に許せるようにはなりませんでした.

  • 満足に出来ない

    コンロのガス栓や洗濯機の水栓を開けること知らなかったり,アイロンの掛け方を知らなかったりする程度なら何とか許せました.しかし,洗剤の説明書きを読まないことや米を食器用洗剤で洗うことレベルに達すると,もはやついていけません.この主人公にさえ馬鹿にされる小萌の料理スキルも大概ですが.

  • まともな状態まで回復する

    急に名推理を繰り広げたりヒロインの気持ちに気付いたりと察しが良くなる時があります.成長したというよりもライターの都合のような気がします.

  • 成長物語

    「失敗は成功の母」とのセリフがよく出てきますが,事前調査が足りなくて失敗する場合が多く,もう少し「こうりつてき」にできないものでしょうか.ただ,同じ失敗は2度としないと海が証言する以上,その言葉は本当なのかもしれません.

  • 自らの我が儘

    この作品は主人公もヒロインも自分勝手な人物が多いように感じます.

  • その理由

    母との約束をかたくなに守るのは,未だ母の死を受け入れられていないということ.うたは(渚)に許されて遊は(海が母の死を受け入れたときと同じように)初めて泣くことが出来ました.

1.3. 特に気に入った絵や音楽はありませんでした

ヴィジュアル面では立ち絵に小さな吹き出しをつけて感情を表現した演出が良かったです.音楽面では好きになった楽曲があまりなく,むしろ「蝉が飛ばない遊歩道」などの日常BGMが主人公の気怠さを感じさせ,何となく不安にさせられました.

1.4. その他の演出について

2行しか表示できないテキストウィンドウを採用しているためか,セリフや状況描写は簡素なテキストで表現されています.ライターの知識不足を除けば,単純な誤字脱字は数カ所しか有りませんでした.

選択肢ごとにプレイヤーの恋愛力が問われるのも面白いですね.また,恋愛偏差値の高さとヒロインの個別ルートに入れるかが,完全に一致しているわけでもないところも良いと思います.逆説的ではありますが,実際に一般論としての正解よりもその相手のためになる言動の方が大事です.恋に恋しても仕方ないのですからね.

  • ライターの知識不足

    高校地学を社会科の選択科目の1つとして解説する羽音先輩は失笑ものでした.

  • プレイヤーの恋愛力が問われる

    選択肢の前にヒント(ヒロインからのコメント)が入るのも良いと思います.


2. 個別シナリオやヒロインについて

各ヒロインのルートには,恋愛力の各項目(行動力,計画性,情熱,コミュニケーション,センス)が担当テーマとして割り振られており,遊(とヒロイン)は恋愛力を高めていきます.

本作のメッセージを端的に表すには,以下の台詞が最も相応しいでしょう.

恋する相手だけじゃなくて,自分のことも好きになってあげてください
(鹿子木ゆう / 12月14日 恋愛講座)

相手に心と体のつながりを求めても,依存関係となっては幸せな未来を歩めないのですからね.

「恋愛とは何か」というテーマ

本作は「恋愛とは何か」と壮大なテーマを掲げています,実際のところ,「本気の恋愛」そのものについて難しく考える必要はないようです.本気で恋している実感など,好きな人にだけ見せる笑顔だけで十分なのでしょう.

また,このテーマ自体を軽くしてしまった要因の1つに,えっちの扱いがあります.雅先輩に依れば「恋人って,つきあい出してから三ヶ月が,エッチまでの平均期間」だそうです.しかしながら,この作品のヒロイン達はみな,「好きです」の告白を承諾した直後にえっちしてしまいます.多くのルートはそのまますぐにエンディングを迎えてしまうため,エッチをするために恋愛をしている節があります.したがって,女性に体を開かせるための物語(よくあるエロゲー,萌えゲー)に成り下がってしまった気がしてなりません.

  • 依存関係

    本作では多くの依存が取り上げられています.

2.1. 小日向 羽音(7/10)/ ロケットに閉じ込めた情熱

(C) 銀時計
(C) 銀時計

ハート語録で印象深い羽音先輩が司るのは情熱.彼女はロケットに比嘉曜一の名前を閉じ込め,いつか願いが叶うと何年も想い続けていました.ロケットに込められた想いの強さに絶望した遊ですが,小萌の励ましによって立ち直り,それ以上の情熱でもって羽音先輩と仲直りを果たします.

ここで疑問なのは,部室に置いてあった制服を勝手に漁り秘密を暴いた遊をわずか数日で羽音先輩が許してしまったことです.加えて,ここまで明らかに羽音先輩の心は比嘉寄りに描写されてきました.自分の中で比嘉を美化していることに気付いていても,昨年の暴行未遂から救われたときに彼からどれだけ大切に思われているか分からない彼女ではないはずです.結局の所,比嘉が情熱(求愛)を示さなかったことが主要因なのでしょうか.ただ,遊が羽音のロケットを勝手に見てしまったときの演出はとても良かったと思います.ロケットが空っぽだった所もさることながら,黒地に白文字のセリフで遊を軽蔑する状況は本作で最高の名場面でした.

比嘉 曜一

羽音を護るために暴力沙汰を起こしてしまうほど彼女のことが好きだった比嘉.好きな女の子に悪戯してしまう男の子のまま育ってしまった彼は,羽音への贖罪と好意を素直に表せないままでいました.そんな彼も明確な描写はありませんが,(羽音ルート以外では)恋愛部を通じてその臆病さを解決できたようです.

なお,プレイ中に大きな疑問だったのは,比嘉自身が退部することで定数割れによる廃部が可能にもかかわらず恋愛部に所属し続けているかでした.この点については,カナ先輩のルートで小日向に納得(恋愛部を再建させない)させた上で退部させたかった旨が語られています.ここを示しておくのはとても重要なことです.

  • 羽音先輩

    男性恐怖症でありながら最も早く遊に体を開く羽音先輩.

  • 情熱

    人間を含む動物が見せる激しい求愛活動のこと(4月26日,恋愛講座)

2.2. 浅香 小萌(7/10)/ 両の目で見られない故の行動力

(C) 銀時計
(C) 銀時計

ジト目の可愛い小萌が司るのは行動力.遊の精神防御を物理攻撃(えっち)で打ち破りました.さらに,単に猪突猛進なだけではなく,欺瞞に満ちた駆引きをこなす黒い面を見せます.本来.この行動力の高さは恋愛部に所属する必要がないほどです.しかし,自分が全てを捧げるから相手にそれを望むように,「恋の呪い」に少し精神を病んでいるところもあり,彼女の言動に煩わしさを感じる場面も少なからずありました.罪悪感に押しつぶされそうになった2人は,うたはの励ましによる遊の行動によってすれ違いを回避しました.

仕掛けとしては,ロケット花火による視力低下とその回復を隠していた事実には驚かされましたし,小萌と遊がお互い抱える罪悪感や戸惑いの対応関係をよく描いていたと思います.

渡会 俊之

女性手帳なるものを作成し一見すると軽薄そうな人物に見えますが,その実とても友達思いで誠実な人物です.片想い相手の小萌や恋敵の遊に掛ける言葉には心動かされる場面もありました.

篠原 蛍子

攻略対象のメインヒロイン達よりもよっぽど性格の良い同級生でした.「痘痕も靨」と言いますが,まず盲目になるには彼女みたいな魅力的な女の子でないと恋も始まらないのではないでしょうか.

共通ルートでは二転三転する展開が面白かったです.小萌の告白で感情が揺れているところに誤読させる告白.そして,羽音先輩の推理と蛍子のモノローグによる姉の敵を取りたい悪女へのミスリード.でも結局は,うたはのことが好きでたまらない女の子という初登場時への還元.なかなか読ませてくれました.

  • 行動力

    何事も自分から積極的に動く能力のこと(4月26日,恋愛講座)

  • えっち

    必死に切望したえっちの後に生じる急激な罪悪感がよく描けています.

  • 自分が全てを捧げるから相手にそれを望む

    「私はパンを焼いてあげました。だからあなたも私にパンを焼いてください」(『君が望む永遠』の名言を思い出します.)

  • うたはの励ましによる遊の行動

    幼馴染の好意に気付かない振りを演じ続けていたのは,最後に行動力を発揮するためだとしても,見ていてあまり気持ちの良い物ではありませんでした.

  • ロケット花火

    ここで,冒頭の火に異常な執着を見せる遊の秘密が明らかになります.意味がある設定なのかは分かりませんが.

  • 罪悪感や戸惑い

    視力低下あるいは相手を騙しているという罪悪感から,何故自分のことを嫌いにならないのか,好意を向けてくれるのかという戸惑い.そして,互いに傷つけていると思い込んでいるのに相手はそう思っていない共通点.

  • 恋敵の遊に掛ける言葉

    特に,うたはルートで遊に対して嘘をつく場面では,ヒロインよりもよっぽど魅力的でした.

  • うたはのことが好きでたまらない女の子

    カナ先輩ルートに備えてか,性同一性障害についても少し触れていますね.

2.3. 沢崎 うたは(6/10)/ 理不尽な言動とすれ違いと

(C) 銀時計
(C) 銀時計

理不尽な暴力を振るううたは姉さんが背負うのはコミュニケーション.遊も大概にしてほしいところではありますが,彼女のディスコミュニケーション振りは酷く,(無自覚な恋愛感情による)照れ隠しやツンデレで許されるレベルを遙かに超えていました.特に,うたはのような心優しい(とされる)従姉が,母を亡くしたばかりの遊に「死んじゃえば」と事あるごとに罵るのは理解できませんでした.横暴な彼女の振る舞いに,普通の人であればもう一緒にいられないと考えるところでしょう.しかし遊は.初恋の気持ちを思いだし,彼女の拒絶を乗り越えて積極的に対話しようと試みました.

2人のコミュニケーション不足について,恋愛部の面々は遊だけを一方的に責め立てます.確かに,うたはは1人で生徒会(や自身の抱える言葉に出来ない気持ち)と戦っていました.しかし,それは言い訳にしかならないと思います.むしろ,遊は(うたはの気持ちを分かろうとはしなかったかもしれませんが)自分の想いを積極的に伝えており,批難される謂われはないと考えます.このルートに関しては,主人公はよく頑張ったと褒めてやりたいくらいです.

あまり物語を楽しめなかったのは,ひとえにうたはの極端すぎる性格が大きかったです.世話焼きの幼馴染で,学業優秀でも遊び方を知らないヒロインの組み合わせは一般的にとても良いとされるはずなのに,どうしてこうなってしまったのでしょうか.デートの時の演出や同じくらい頑固で大馬鹿な姉弟の対応関係も良かっただけに残念です.

沢崎 海

一途に兄を想う健気な海ちゃん.声優(河合春華)の効果も相まってこのキャラクターが1番可愛かったです.

肝試しや海水浴に連れて行きたくないうたはの嘘を見破ってしまうほどの賢さ故に,兄に迷惑を掛けまいと母を失った寂しさを封印して気を遣ってしまいます.この子が母の死を受け入れて再び笑顔を見せるまでが共通ルート最後の山場でした.構造としては,海に頼って欲しい遊と,遊に頼って欲しい伯母一家という対応関係や,これまでの自分勝手さに気付く遊など,良いところはあります.しかしながら,視点者(主人公)に好感を抱けないため,シナリオを十分に楽しめたかというと引っ掛かるものがありました.

ところで,海に対してはカナ先輩や恋子先輩の度を超えた悪ふざけが垣間見られ,彼女らは小学2年生の胸を揉みしだき性教育 を施します.もし主人公の立場だったら,このような部活に海を置いておけないですし,恋愛部も即座に辞めるでしょう.海に「男の子はね,自分が悪くなくても,女の子が怒っていたら謝らなきゃだめなんだよ……」と教える女尊男卑の部活に価値があるとも思えないですし.

  • コミュニケーション

    自分という存在を表現する能力のこと(4月26日,恋愛講座)

  • 母を亡くしたばかり

    母の死という要素を大切に扱っている物語だからこそ,この瑕疵は大きいです.

  • 彼女の拒絶を乗り越えて

    この煩わしさをそう感じないところが,まさに恋の魔法なのだろうかと納得させるしかなかったです.

  • 学業優秀でも遊び方を知らないヒロイン

    遊はカナ先輩といる方が楽しいんだと悩むうたはと,うたはは恋愛部を退部させるための条件整備としか思っていたんだと感じる遊.

  • デートの時の演出

    初恋の再現と雷雨を狙った散歩はなかなか興味深いです.

  • 頑固で大馬鹿な姉弟

    海を頼まれた遊と,遊を頼まれたうたは.互いに嫌われていると思い込んでいる2人.なお,詩織さんの家に同居することを遠慮したことまでここに関わっているのは面白いですね.

  • うたはの嘘を見破ってしまう

    特典『海のなつやすみ』参照.

  • 自分勝手さに気付く遊

    これで終わったか思えば,海の初潮問題で再燃するなど根が深い問題でした.

  • 性教育

    ブラジャーだとか生理だとか,そういう問題に恋愛部どころか主人公でさえ関わるべきではないし,詩織さんを頼るべきでしょう.

  • 「男の子はね,自分が悪くなくても,女の子が怒っていたら謝らなきゃだめなんだよ……」

    自分が悪いという自覚がなくても,事実女の子を怒らせたのだから悪いことをしたはず.だから,そのことには謝りましょう……・という説ならまだ分かるのですが.

2.4. 鹿子木 ゆう(7/10)/ 大切なのは,今あるこの気持ち

(C) 銀時計
(C) 銀時計

ボクッ娘のカナ先輩が司るのはセンス.もはや感性だけで生きていけるほどセンスに優れた彼女は,女の子に生まれたことによる母への罪悪感に押し潰されていました.その贖罪(免罪符)として恋に恋していたカナ先輩に対して,遊は恋愛部員たちの力を借りてカナ先輩に自分自身の感情を見つめ直させます.恋することや恋人の定義なんかよりも,大切なのはこの好きという気持ちなのだというお話でした.

1つ残念なのは,カナ先輩が鹿子木家の一人娘であることを受け入れた描写はあるのに,(主題とはやや離れることからか)父親がどう思っているのかについては一切語られません.そのため,物語の奥行きが足りなく感じました.

  • ボクッ娘

    この一人称に男の子に生まれたかったという意味が込められているのは素直に嬉しいですね.

  • カナ先輩

    カナ先輩(桜坂かい)の声は,元気で小さな女の子の中に諦観や陰が表現されていて,とても人物設定に合っていたと思います.

  • センス

    その人なりのオリジナリティのこと(4月26日,恋愛講座)

  • 母への罪悪感

    未熟児だったら難産にならなかったのにというコメントもありましたが,それを小萌が知ったら大変な事になりますよね.

  • 好きという気持ち

    では何故,遊の好きになったのかを考えると,名前の読みが同じ男の子が身近にいたから,という理由くらいしか見当たりません.センスで恋愛する人はこのようなものなのでしょうか.

  • 鹿子木家

    雨が降ると家の都合で学校を休むカナ先輩ですが,この理由が最後まで説明されなかったように思います.

2.5. 穂村 恋子(6/10)/ 計画通りに行かなかった唯一のこと

(C) 銀時計
(C) 銀時計

理詰めの恋愛講座を披露する恋子先輩が司るのは計画性.かつて過程から結果まで手に取るように見通せた彼女は,敗れた初恋に精神を病み,恋愛すること自体を忌み嫌うようになっていました.すべてを隠した黒幕に遊は次第に惹かれていきます.遊は何度か対話を試みますが,彼女の理論武装(精神防御)を打ち破るためには体で分からせるしかなかったようです.

この何故か受け入れられてしまう強姦と紙一重の告白は,(好意的に見れば)これまで獲得した恋愛力を駆使した情熱的な告白であり,恋愛を知的ゲームとして扱った度が過ぎる計画性の否定といえなくもありません.恋愛感情(あるいはそれに準じた感情)を持つに至るまでの描写も不足していますが,過去の一端を明かして拒絶し,それでも諦めない遊にいくらかの期待を持つことが出来たと考えましょう.結局の所,恋愛を一般論で語る知的ゲームとして捉える知性と,頭でっかち(恋愛偏差値)ではなく行動しなければならないという感性のぶつかり合いなのでしょうか.

恋愛成績表に「穂村恋子の右腕」と表記されるように,2人はまだ対等な恋愛関係に至れていません.彼女を初恋による失恋の痛みから救い出すところまで,命を懸けた戦いを描いてほしかったと思います.攻略制限の掛けられた最終ルートだからこその伏線の回収劇や感情の積み重ねが読みたかったです.

  • 計画性

    恋愛という一種の知的ゲームを上手くプレイするための前準備のこと(4月26日,恋愛講座)

  • 体で分からせる

    作品の再序盤で,遊も体で分からせた方がよいタイプだと度会に指摘されています.

  • 何故か受け入れられてしまう

    恋子の諦観を鑑みると,目も心もまったく合わせない彼女は,ただ受け流しているだけなのかもしれませんね.

  • 至るまでの描写

    相合い傘,お月見,チェスなどのイベントがありますが,過去の恋愛を上書き(初恋相手への贖罪からの脱却)できると思えるほどのものはありませんでした.

  • 最終ルート

    最初から読み直すと既読管理の甘さが目立ち,スムーズに恋子ルートへ入ることが出来ませんでした.


3.1. 心にとどめておきたい言葉

恋をする―――それはおたがいを見つめあうことではなく,
一緒に同じ方向を見つめることである.
小日向羽音 / 8月24日 ハート語録
集めた情報から相手に結びつくものを整理し,
連想し,組み立て,活かしていくことが重要なんだ,
だから誕生日の時に相手に聞かなければ欲しい物が分からないようなら,
最初から恋愛をする資格はない.
穂村恋子 / 9月28日 恋愛講座
人の好意は大きければ大きいほど,受け取るのが難しい.
だがその大きな好意を,素直に,笑顔で受け取ることが出来たなら.
その人は,愛され上手になる.
ふたりはきっと,恋することが上手くなる.
穂村恋子 / 11月9日 恋愛講座
人は独りでは生きていけませんからね.
劣等感も優越感も,自分以外の人がいなければ抱えない感情ですからね.
小日向羽音 / 12月28日 恋愛講座

3.2. 関連項目

  1. 外部記事

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Last updated: 2013-12-21
First created: 2013-12-14