『Bullet Butlers』感想

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ジャンル 銃と魔法と執事と主のファンタジーAVG
発売日 2007/07/27
propeller燃焼系3本パック
評価点
71 / 100
最大瞬間風速 セルマ (75/100)
総プレイ時間 36.3時間
主人公 8/10
お気に入り ヴァレリア
ユーザビリティ 7/10 7/10
グラフィック 7/10 7/10
ムービー 7/10 7/10
主題歌 7/10 7/10
BGM 7/10 7/10
ストーリー 7/10 7/10
演出 7/10 7/10
感動 6/10 6/10
読後感 6/10 6/10

(評価点や作品に望むこと等については「レビューポリシー」をご参照ください。)


0. まずは一言

目的のために銃を手にして戦う2人の執事の物語。主のために尽くすこと。形式的には同じ目標なのに、その中身はまったく違っていました。

  • 推奨攻略順

    ヴァレリア→雪(ガラ)→セルマでほぼ固定されています。


Attention!!

この感想はゲームをクリアした人に向けて書かれています。
まだゲームをクリアしていない人が読むと、作品の面白さを損なうことがありますので、ご注意ください。

1. 作品全体について(ネタバレ小)

1.1. 世界観設定および登場人物

剣と魔法の近代ファンタジー

『Bullet Butlers』は、20世紀中頃のアメリカをモデルとした「銃と魔法のファンタジー世界」を舞台に描かれています。亜人種(エルフ、リザードマン、オークなど)や非科学的な魔法といったファンタジーの存在と、近代科学を基礎とした文化的生活とが調和している世界観が、違和感なく作り上げられています。2000年続く8英雄の伝説などのオリジナル要素も至って正攻法であり、入り込みやすい世界観でした。

今回も男性キャラクターが活躍します

3人のヒロイン達は、苦悩する過去を抱えながらも各自なりの信念を持って行動しています。そのことは敵対するギュスターヴ、レイス、シドなどについても同じです。その詳細な背景は、ヒロイン達と同等かそれ以上に語られています。登場人物の心情が理解できるために、味方だけではなく敵方の登場人物にまで感情移入できます。

ホープやプーキーなどコミカルな場面で活躍する人物も多数いて、特にアッシュやキャロルはシリアスだけではなくこちらでも目立っていました。フォルテンマイヤー家の屋敷内で繰り広げられる滑稽な会話も、(ややマンネリ化している嫌いはありますが)とても楽しめました。

  • 亜人種

    かつて地上(ゴルトロック)の覇権を争った8種の種族が争わずにいられるのも、共通の敵である聖導評議会が存在するおかげです。

1.2. ここまで気高い主人公は珍しいです

正ヒロインの執事であるリック・アロースミスが本作の主人公です。これだけ温厚で丁寧な振る舞いを見せる気高い主人公は、とても珍しいでしょう。

セルマの執事であろうとする彼の拘りには、人間性に少し疑問に感じる部分もあるかもしれません。ただ、一言弁護すると、彼はかつての「無名の従者」の再現であることが暗示されており、それが彼の個性であり本質であることが担保されていました。

  • 執事

    完璧な執事像を体現するリックだけに、女性に対して「Yes, sir!」と発言する場面があることだけは勿体ないかなと思います。

  • 暗示

    ここは、より強調するべきだった事項だと思います。アルフレッドが同じ空虚を抱えていたシドに執事として迎えられたように、リックが執事となった意味を明示することが出来るからです。

1.3. 内面が見え隠れするCGと、相応のBGM

前作に続き、登場人物は頭身が高く描かれています。立ち絵は表情から心に抱えたものが滲み出てくる感じが良かったです。せっかく良い絵ですので、十貴竜といった名前のある登場する人物には(差分は無くても構わないので)立ち絵を用意して欲しかったと思います。一方で、コミカルな場面でディフォルメ絵を立ち絵と同様に使用することがありますが、作品の雰囲気に合致しておらず、前作のような面白さもありませんでした。

これといってお気に入りのBGMや歌曲はありませんでしたが、場面に応じて雰囲気を作り上げる曲が流れていたと思います。登場キャラクターのセリフは、今作も主人公を含めてフルボイスでありとても嬉しかったです。惜しいのは、場面に応じて加えられた音量の調整(ダイナミクスの幅)が大きく、聞き取りづらい場面がありました。

  • 十貴竜

    絵がないため、名前や出身を覚えられない十貴竜が何人かいました。

1.4. 1枚絵の演出を頑張っています

一枚絵を部分的に拡大して使用する演出は良かったと思います。SEについては、悪くないのですが、筆記音や打撃音などが極めて短時間でループし続けている場面では煩く感じたこともありました。

視点や場面の変更に暗転やアイキャッチが必要だったと思います。本作では特に回想が多いため、その切り替えに戸惑う場面が少なくなかったです。

システムインターフェイスについてはおおむね問題ないのですが、「クリック時音声カット」機能だけは残念でした。一般に、この機能は次のセリフが始まるまでCVを継続し続けるか否かを選択するものですが、このシステムではセリフが終了するまでカットされません。したがって、2つのセリフが重なってしまい、ほぼ使い道がない機能となっています。

  • 使い道がない機能

    えっちシーンでこの機能をオフにすると女性の喘ぎ声が多重に聞こえるので、少し変わった楽しみ方が可能です。


2. 個別シナリオやヒロインについて

本作における弱点としてまず挙げられるのは、読者へ向けた直接的な説明の描写が不自然に多いことでしょう。その原因は、プレイヤーと知識レベルを共有する質問役の登場人物が極端に少ないことにあります。8英雄の伝説やこのファンタジー世界特有の常識についてはプレイヤーに直接説明するしかありません。さらに、主人公サイドのほとんどが旧知の知り合いで構成されていることもあり、その親愛な関係性を築くまでの過程を説明するためにどうしても回想シーンが多くなってしまいます。

これらの傾向は導入部から顕著であり、この世界の歴史設定(8英雄の伝説)や地理が一気に説明されます。剣と魔法の中世ファンタジーに慣れ親しんだプレイヤーにとって分かりやすい内容であるものの、漢字表記を英語で読む固有名詞を多用しており、物語の世界に入りにくいものとなっています。

構築された世界観は壮大であるものの、実際の舞台はアーク・メリア連邦におけるドラゴニュート族のみという狭い範囲に限られるものでした。これはこれで程良くまとまっているので良いのですが、支部しか登場しなかった支部しか登場しなかった聖導評議会との対決はやはり最後まで見てみたいものです。セオリー通りで構わないので、2000年前の伝説を当代のミスティック・ワン達が再現する結末を読んでみたかったです。

  • このファンタジー世界特有の常識

    主人公は魔法使いではないため、魔法に関する事項についての説明は多少受けられます。

  • 回想シーン

    性格を単に形容詞で説明するのではなく、エピソードとして提示していることだけは評価したいと思います。

  • 漢字表記を英語で読む固有名詞

    固有名詞はともかく、一般的な語まで無理がある英訳を当てるのは少々行き過ぎている様に感じました。

  • 支部しか登場しなかった聖導評議会との対決

    2000年経ってなお存続している組織を打ち倒せるとは思いにくいですが。

2.1. ヴァレリア・フォースター(7/10)/ こう見えてもセルマと同い年

戦う魔女っ娘こと、ヴァレリア。ヒロインへの萌えを二の次としている本作ですが、九条信乃さんによるCVの効果によって彼女は直接的な可愛さにあふれています。

ヴァレリアルートは、彼女の生き別れの兄であるギュスターヴ(リチャード)との戦いがメインです。愛する人たちを護りたいリックと同様に、彼にも愛していたベアトリスを聖導評議会の秘蹟で蘇らせたい信念がありました。彼の凄惨な過去に同情しない者はいないでしょう。

スタッフロール開けのエピローグでは、いきなり300年後に飛んでしまいびっくりさせられました。天国で仲間達と一緒に暮らせること自体は、トリスアの森での一時を彼らと永遠に共有したかったヴァレリアにとって、この上ないハッピーエンドなのでしょう。しかしながら、これでは何のために頑張って生きてきたのか分からないですし、リック達の死後(約200年間)から新たな仲間に出会えなかった暗示のようにも思えます。植えた星花の開花をリック達と見に来る辺りのエピソードにしておいた方が無難だったでしょう。

  • 戦う魔女っ娘

    九人の大魔法使いが1人であるエルネスタ師匠をも超える魔法使いになれるらしいです。圧縮呪文(例えばarrow of lightning → arrthi)を使った魔法戦は大好きです。

  • 九条信乃さんによるCV

    「セルマのエロー」とヴァレリアが叫ぶ当たりの声が大好きです。

2.2. 渡良瀬 雪(7/10)/ 無駄に大きいとキャロルが言いたくなるのも分かる

ヴァレリアを大好きすぎる雪さん。数々の奇行を見せますが、それを彼女が抱える秘密と対応させると、これも自分を保つためには必要な行為だったのかなと感じます。

ネイムレスから与えられた監視任務がすでにヴァレリアのルートで明らかになっていますが、雪のルートではこれに加えて彼女自身の秘密について言及します。殺人人形という出自やリックの父に捨てられたことなど、彼女も辛い秘密を抱えていました。リックと想いをぶつけ合うことで雪が真にヴァレリアを護る執事となり、ラストの戦いでは操られた養父ガラに勝利して物語は幕を閉じます。

このルートでは、ガラやレイスといったサブキャラターにスポットが当てられています。彼らの見せ場は、雪の執事としての想いやリックへの恋心といったテーマがいくらか霞んでしまうほどでした。

この作品で最も意外だったことといえば、暗殺者レイスが人間族のミスティック・ワンことキール・スカイウォーカーだったことでしょう。母を殺されたキールはスカイウォーカー一族もろとも死のうとしましたが、聖紋とブラシェ・ボルミア(不滅の聖躯)の継承により生き続けなければなりませんでした。彼の凄惨な過去やエル・アギアス(大神)を呪う気持ちには同情するほかありません。

英雄の末裔として振る舞わなければならない重圧や心の闇についても描写されます。ミスティック・ワンを継承するに当たって、キールは母の愛を諦めなければなりませんでした。セルマも両親に拒絶されラッカー(欠落者)となり、継承時にはヴァレリアとの友情を手放そうとしました。彼らの明暗を分けたのは、奪われたときに支えてくれる者 や、失わなくてすむようにしてくれる者の有無でした。このことは、自分が自分で在り続けることとして、セルマルートでも登場します。

  • リックの父に捨てられた

    リックの出自を聞いて彼を強く拒絶する雪ですが、他ルートではあまり言及がありません。おそらくセルマに相談してなんとか心を落ち着けたのでしょう。

  • ガラ

    レイスに操られたときの後遺症により記憶を失うガラ。エルネスタとともに街を去る彼はそのことを隠しつつ、最後まで雪の父親であろうとした彼は格好良いものです。

  • 人間族のミスティック・ワン

    レイスが聖紋を継承して生きているということは、フレイマル・ネクスを持った人間族がどこかに存在するはずです。彼の死後から18年経ってなお継承候補が現れないのは、神の気まぐれか、それともニヴェンが何かを隠しているのでしょうか。(逆に言えば、候補者の存在が明らかになると、ミスティック・ワンが存命であることが明らかになってしまう。)

  • 母を殺された

    ここにアルフレッドとキールの共感があり、戦友となるきっかけがあったようです

  • 聖紋

    ヘルに愛を告げたことによって失われる聖紋。

  • 英雄の末裔として振る舞わなければならない

    一方で、英雄の継承が2000年も続くと、その子孫を尊敬する意味に疑問を抱くのは当然のことです。セルマは、尊敬される理由のあるミスティック・ワンを目指します。

  • 母の愛

    神に愛された一族は神以外を愛してはならないとは、なんともおかしなことです。

  • 奪われたときに支えてくれる者

    同様のことがシドやアルフレッド、ギュスターヴについても言えます。

2.3. セルマ・フォルテンマイヤー(7/10)/ 黒い笑顔が魅力的です

嫉妬や腹黒など様々な可愛い笑顔を見せてくれるセルマ。彼女のルートでは、セルマとシドのミスティック・ワン継承競争が主な話題になります。円卓での十貴竜会議や繰り広げられる政治的工作が楽しかったです。ただ、終盤のラッカー差別問題については、シドの私兵が武装蜂起するまでの繋げ方がどうも消化不良でした。アルフレッドが裏でシドを陥れるのではなくて、リック達にシドを爽快に追い詰めて欲しかったです。

オセロット・シティ防衛戦

オセロット・シティ防衛戦を友情パワーによって繰り広げつつ、リック達はシドのラストバトルへ。戦友を蔑ろにした民衆に八つ当たりとしての騒乱でしかなかったと言えばそれまでですが、彼らの気持ちが分からないわけでもありません。

エルネスタの最高魔法、セルマのドラゴン・ブレスなど格好良いシーンが続きます。特にセルマについては、剣先からブレスを放つ技の意外性だけで無く、ラッカー差別への勝利(ミスティック・ワンへの適正と始祖イングリットの再現)など様々な意味が込められた戦いでした。

銃を手にして戦う2人の執事

シドを倒して消耗しきったところすぐに、アルフレッドやレイスとの最終決着が用意されているまさにいじめのような流れですが、正直プレイヤー側も食傷気味になるのではないでしょうか。内容も少々懐疑的であり、灰になっても再生するレイスの回復速度を上回る攻撃をセルマが放つのはともかく、地獄と天国の分かれ道でリックがベイルを倒す場面は正直興ざめでした。自分の名前すら思い出せないところまでグール(悪鬼喰)を使用しておいて、(もはやこうするしかハッピーエンドを迎えられないのだとしても)都合の良すぎる結末でしょう。近しい人の親愛や大切な記憶を失うことで自分が自分無くなることの恐怖が、英雄の末裔として公平に振る舞うことを強制される心の闇と対比されていたので、この救いは残念でした。ルダがアルフレッドに心から仕えていたように、ベイルもリックの心からの相棒で記憶(魂)をすべて返してあげたと解釈出来ないこともないですが、禍々しい呪いの武器であることを考えるとどうも腑に落ちません。

母を奪われて何も残っていなかったアルフレッドは判断基準を持ち合わせていませんでした。リックのように主のために尽くすことで何かを見いだそうと(あるいは、何も考えずに済むように)しましたが、結局ただ周囲に迷惑を掛けただけでした。地獄の入り口で再び契約を結んだシドとアルフレッド。2人の魂がどこかで救われることを祈ります。

なお、エピローグは、念願のトリスアの森での一時。少し残念なのは、コゼットが自らの正体をセルマに打ち明けるシーンがなかったことです。

  • 政治的工作

    他にも、FBI内や警察との部署間対立など、好きな話題がいくらかありました。

  • 彼らの気持ち

    戦友達はみな虐げられているのに自分だけが名誉を与えられている状況が許せないシド。

  • ベイルを倒す

    ノーライフキング(不死の王)の一部とはいえ、1度死んだことがあるためかベイルの魂を消すことも可能のようです。

  • グール(悪鬼喰)

    リックの戦い方は少々グールに頼り切りでワンパターンになってしまう嫌いがあります。



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Last updated: 2013-10-12
First created: 2013-10-05