『ピアノの森の満開の下』感想


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タイトル ピアノの森の満開の下外部サイトへリンクします。
ジャンル 大正幻想、妹看護アドベンチャー
発売日 2007/08/24
ピアノの森の満開の下 初回版
評価点
71 / 100
最大瞬間風速 櫻乃(75/100)
総プレイ時間 6.4時間
主人公 6/10
お気に入り 木花
ユーザビリティ 7/10 7/10
グラフィック 7/10 7/10
ムービー 7/10 7/10
主題歌 9/10 9/10
BGM 8/10 8/10
ストーリー 7/10 7/10
演出 7/10 7/10
感動 7/10 7/10
読後感 7/10 7/10

(評価点や作品に望むこと等については「レビューポリシー」をご参照ください。)


0. まずは一言
 妹である櫻乃を溺愛する、ただそれだけのための物語。桜の森の満開の下で響く二重奏に、櫻乃の想いがいっぱい詰まっています。もしも軽い死生観に疑問を抱いてしまったのなら、ちょっとしたミステリーに注目してみるのも一興かと。木花の視点から彼女の言葉を想い返すと、そこにはささやかな感動がありました。
  • 二重奏
     「此の花咲ク頃」および「散・花・桜」どちらもとてもいい曲でした。プレイし終えた後に歌詞を読み返すだけでも心に来るものがあります。挿入歌のタイミングも完璧でした。

Attention!!
この感想はゲームをクリアした人に向けて書かれています。
まだゲームをクリアしていない人が読むと、作品の面白さを損なうことがありますので、ご注意ください。

1.1. 大正幻想
 時代は大正初期、不思議な療養所を舞台に妹と過ごす最後の一週間を描いた物語です。ヴィジュアル面では衣装や洋館、テキスト面では漢字への独特な振り仮名など、大正時代の“雰囲気”はよく表れていたと思います。ただ、言葉遣いが現代風であったことが残念であり、これに慣れるまでにはいくらか時間がかかりました。
  • 大正初期
     数年前の出歯亀という記述から、明治41年の数年後を想定しているようです。なお、主人公がコロッケをハイカラな料理と喜ぶ場面がありますが、この頃にはコロッケも一般的な料理になっていたようです。このイベントは好きなので別に構いませんけれど。
  • 言葉遣いが現代風
     大正時代の言葉遣いでテキストを書いて欲しいというわけではなくて、あまりにも砕けた表現はやめてほしいという意味です。
1.2. 妹看護ADV
 妹を看取るというテーマですが、こちらも馴染むまでには相当の時間を必要としました。ここで、櫻乃が元気すぎることはたいした問題に感じません。むしろ最大の不満は、主人公のえっちな言動や想像が断続的に表現されるところです。これには、シリアスへの期待感に対する妨害以上に、妹へ愛情を抱くこと自体を阻害されてしまいました
  • 櫻乃が元気すぎる
     現世とは異なった幻想世界の雰囲気を序盤から匂わせているので、多少元気でもその影響かな、と自然に納得できます。
  • 断続的に表現される
     この強制的な「妹に萌えなさい」というエロゲ (キャラクターゲーム?) 特有のスキームには、冷める一方なのです。
1.3. 最後の一週間
 「少しでもいい、人生を楽しいものに彩ってから終わらせてやりたかった」と主人公は願い、この療養所への旅を決心します。そんな彼らの日常に悲壮感や緊張感(または、それらを覆い隠した笑顔)が見えないのは、死生観を“描きたかったのであれば”弱いと言わざるを得ません。死を受容する (あるいは、受容したふりをする) 姿といった心の負荷が、最愛の人の死を軸に扱う物語ではやはり中心にくるべきだと思うのですよ。

2. 個別シナリオやヒロインについて
 『ピののの』の主題は妹を愛するということ。この前提にしっかりと乗れた読者は、2周目以降のループ世界を蛇足と感じることでしょう。都合の良い大逆転は、看取った死の意味を綺麗に吹き飛ばしてしまうのですから。
2.1. 神森櫻乃 (Normal END) (6/10)
(C) PAJAMAS SOFT
(C) PAJAMAS SOFT
 主人公の言動に苛まれて櫻乃に愛情を感じる前にエンディングを迎えてしまった、というのが正直な感想です。2周目以降は、彼女の「ふぇ?」や壁に話しかける姿に萌えるところまで行きましたが、この段階では淡々と読むだけに留まってしまいました。

 「大正幻想、妹看護ADV」やタイトルからイメージされる、淡くて儚い幻想的な物語は、この章が最も綺麗に表現されていたと思います。無難な進行ながらも結婚式と日の出には心動かされ、2曲のヴォーカル曲にも感動できました。
  • 「ふぇ?」
     バックログでこのセリフを何回もリピートしたことは、もはや言うまでもありません。ほぼすべてが榊原ゆいさんによって構成されるゲーム。まさに、ゆいにゃんファンディスクと言ったわけですか……。 
  • 無難な進行
     徐々に過去を思い出していく手法。主人公の妹に関すること、木花の契約に関することなど。 
  • 結婚式
     木花が櫻乃の代わりに宣誓していると思うと泣けてきます。彼女はこの時何を想っていたのでしょうか。 
  • ヴォーカル曲
     二重奏の表現にもっと気を使うとさらに良いものが出来上がると思います。つまり、伴奏はピアノのみとし、また演奏も彼らの身体・心理状況を反映するべきです。1周目であれば、櫻乃に絶え絶えの声で歌ってほしいし、2周目ではピアノは切れ切れの演奏を望みます。 
2.2. 木花 (7/10)
(C) PAJAMAS SOFT
(C) PAJAMAS SOFT
 物語の冒頭から仄めかされていた、櫻乃と此花の関係が明らかとなるお話。やや都合の良い展開ではありますが、小さなミステリーとして十分に楽しめました。小野寺の血やメフィによる等価交換の契約についても、1周目終盤での描写もあって強引さもさほど感じませんでした。

 「木花=櫻乃の約10年後の姿」であることや、その付随設定 (ループに関すること) はともかく、同一人物であることはかなり早い段階から確信が持てると思います。その事実が確定した後に遡って彼女のセリフを想い返してみると、この時彼女はどんな気持ちだったのだろうとたくさんの想像が出来て楽しかったです。

 ところで、これは見方によれば2名のヒロインの命を両天秤にかけ、どちらを存続させるかという怖いお話でもありました。その意味では、選ばれなかった櫻乃を想うと (1周目と対比して) この物語は一体何だったのかと、少々悩むことになります。
  • 小野寺の血やメフィ
     小野寺の血については『パンドラの夢』 (ぱじゃまそふと) を、メフィストフェレス (Mephistopheles) については『ファウスト』(Goethe) を、それぞれプレイ・参照してみるとよいのではないかと思います。
  • 等価交換
     ご主人様が甘いかどうかは別に、すべての奇跡に代償があるだけでも高ポイントです。
2.3. 神森櫻乃 (True END) (7/10)
(C) PAJAMAS SOFT
(C) PAJAMAS SOFT
 サンルームでの二重奏、お互いに自らの命を差出そうとする契約、上乃駅でのピアノ独奏と、最後の流れはとても作品世界に入り込みました。やや残念だったのは、櫻乃が笑顔で帰ってきてしまったこと。主人公が上乃駅で孤独にピアノを弾く姿に感動していたため、やっぱりとは思いつつもがっかりした場面でした。しかしながら、木花の「あの子とあの人の役に立てて、最後にこんないいものを見ることが出来たんですから」のセリフに溢れた想いを勝手に想像 (妄想) して、そのマイナス分はすべて打ち消されました。
  • ピアノを弾く姿に感動
     タイトル画面に戻った時、主人公が1人でピアノを弾く姿とBGMが重なってとても感動できるものになると思ったのですが、そういうわけではありませんでした。

3.1. 心にとどめておきたい言葉

『生きる』ことは、歩くことですよ。
今いる場所と明日いる場所がまるで同じなら、
『生きて』る意味はないじゃないですか。
木花

私達に出来るのは、出来るだけ楽しく、
悔いの残らないように残りの時間を過ごしてあげて、
きちんと送ってあげること。
木花

( 「出来る」や「あげて」という表現に、このライターの考え方が表れているような気もします。)
3.2. 関連項目
  1. 外部記事

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Last updated: 2012-06-16
First created: 2012-10-08