『あやかしびと』感想

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タイトル あやかしびと外部サイトへリンクします。
ジャンル 学園青春恋愛伝奇バトルAVG
発売日 2005/06/24
propeller燃焼系3本パック
評価点
80 / 100
最大瞬間風速 すず(95/100)
総プレイ時間 49.3時間
主人公 8/10
お気に入り トーニャ
ユーザビリティ 7/10 7/10
グラフィック 7/10 7/10
ムービー 7/10 7/10
主題歌 7/10 7/10
BGM 7/10 7/10
ストーリー 8/10 8/10
演出 7/10 7/10
感動 8/10 8/10
読後感 7/10 7/10

(評価点や作品に望むこと等については「レビューポリシー」をご参照ください。)


0. まずは一言

主人公がヒロインとの大切な日常を護るために戦う、ただそれだけのお話。愛と友情と努力による勝利でした。

  • 推奨攻略順

    本線への言及度を考慮すると、トーニャ→薫→刀子→すずの攻略順が適切かと思います。


Attention!!

この感想はゲームをクリアした人に向けて書かれています。
まだゲームをクリアしていない人が読むと、作品の面白さを損なうことがありますので、ご注意ください。

1. 作品全体について(ネタバレ小)

1.1. 世界観設定と登場人物が魅力的

人妖という病が存在する現代日本で繰り広げられる学園ノベル異能力バトル妖怪を題材に面白い世界が作り出されていたと思います。分かり易いテキストで綴られる物語には、たくさん笑い、心が燃え、そして涙を流しました。(整合性にいくぶんの都合良さを感じるところもありましたが、)ルートごとに最後の敵や味方となる人物が異なり、キャラクターもシナリオを引っ張っていってくれて十分楽しむことができました。30名以上いる登場人物たちは、その誰もが強烈な個性や感動させる輝きを見せつけてくれます。

  • 学園ノベル

    主人公の夢としての学園生活。生徒会メンバーとの日常はとても良い雰囲気でした。

  • 異能力バトル

    人妖能力の使い方は正攻法であり、意外な使い方による戦略的な勝利はあまりありません。

  • 妖怪

    日本の妖怪が数多く登場し、たいへん勉強になりました。

  • 分かり易いテキストで綴られる物語

    伏線という面では少し物足りないかもしれません。

  • ルートごとに

    金嶺学園の不良学生による強姦、一乃谷神社の封印解除など、そのルートの本質問題ではなくても他のルートで起こっていることが示唆されることがあります。

1.2. 好感の持てる心優しい主人公

無邪気な主人公である如月双七は、ささやかな喜びに感動して涙を流す心優しい青年です。自らの弱さを認め、自分の出来ることを実行する精神の強さは称賛に値します。率直に言って、織咲病院という劣悪な環境で育った双七がこれほどの好青年に育つとは考えにくいです。しかし、これも薫お姉さんが育て、九鬼先生が鍛え、すずが家族として過ごした成果なのかもしれません。

1.3. 頭身の高いCGと物静かな曲が良いBGM

目が大きく描かれるいわゆる萌えキャラ絵とは異なり、頭身が高く描かれた登場人物達は凛々しく格好いいです。それでいて女性ヒロインの可愛らしさは失われておらず、制服を着たすずの頬を膨らませてそっぽを向いた表情やトーニャの照れた立ち絵にはきゅんとします。

BGMでは「五位鷺」を初めとした静かに悲しむ曲が秀でていました。ただ、プレイ時間が50時間と非常に長かったため、もう少し楽曲にバリエーションがあれば良かったと思います。また、登場キャラクターのセリフは主人公を含めてフルボイスでありとても嬉しかったです。

  • 凛々しく格好いい

    加藤先生が車を粉砕するカットなんかいいですね。

  • 制服

    神沢学園の女子制服は、巫女服をベースにデザインされている割には、一般の洋服と同じ左前デザインとなっています。なお、この制服が気に入って神沢学園に通うことになるすずですが、学校で制服を選ぶ女子中学生と何ら変わらない発想ですね。

  • 主人公を含めてフルボイス

    主人公のえっちシーンではセリフではなくト書きを多用してCVを実質オフにするという気の使いようでした。

1.4. 楽しい演出

ディフォルメされた挿絵がどれもこれも面白くていいですね。コートを被ったすずや釣りで照れた会長が可愛いです。戦闘シーンで入るカットインや効果音もバトルを演出していました。セーブしないと分からないのが難点ですが、イベントタイトルに面白いものが多かったのも良かったです。

演出面で惜しかったのは、OPムービーがネタバレを考慮していないCG集だったことでしょうか。(プレイする上で大きな障害ではないですが、)エンディングムービーが飛ばせないなどのシステム面での不備も勿体ないです。

  • イベントタイトル

    例えば、下校するときに生徒会の誰と帰るかのシーンでは「一緒に帰って友達に噂されると厭」でした。『ときめきメモリアル』の藤崎詩織ですね。

  • システム面での不備

    マウスの左ボタン長押しでの強制スキップ、分岐管理ミスで文章が繋がらない、既読判定の甘さなど、軽微ではありますが不満でした。


2. 個別シナリオやヒロインについて

双七がすず(あるいは他のヒロイン)との大切な日常を護るために戦う、ただそれだけのお話。皆が自分の誇りを賭けて、胸を張るために戦って戦って戦い抜いて得た、愛と友情と努力による勝利でした。

2.1. アントニーナ・アントーノヴナ・ニキーチナ(7/10)/ どうか幸せな未来を

照れたりふわふわしたり頭を抱えたりと、とても可愛いトーニャ。すずは陶器女と呼びますが、優しい彼女はとても感情表現が豊かです。日常パートでの活躍(面白さ)は彼女が1番でしょう。冷静な切り返しや腹黒い笑みと、藤野らんによる独特なイントネーションのCVとの組み合わせが絶妙でした。

このルートでは九尾の狐という本線には言及せず、ロシアという外部勢力のお話です。逃走したトーニャの電話、学園でのチェルノボルグ迎撃、いじめのような最悪のタイミングで現れたドミニオン、九鬼先生との師弟対決など、見所がいっぱいありました。妹のサーシャを失ったトーニャは、エンディングから2年後、双七達と共にロシアによる人妖研究の停止に成功することが示唆されます(『パヴェーダ(勝利)』)。復讐を果たした彼女が(他のヒロイン達と同じように)幸せの日常を歩めることを、心から願います。

ところで、このシナリオで不自然に感じるのは、チェルノボルグ戦以降における八咫鴉たちの不在です。九尾の再封印に駆け回っていたのは分かりますが、すずの護衛に鴉天狗か虎太郎先生のどちらかを護衛に残しておくべきだということくらい気付きそうなものですよね。

  • チェルノボルグ迎撃

    双七の対話能力により、耳のフィルタリング装備を引き寄せて破壊する戦略を取れば、もっと簡単に事は運んだはずです。

  • 妹のサーシャ

    致命傷を与えた途端に記憶を取り戻す演出は予定調和ですけれど、やはりずるいものです。最初から本気を出していればウラジミールのような犠牲は生まれませんでしたが、妹を殺すことを簡単に割り切れるようなトーニャではなかったのでしょう。

  • 気付きそうなもの

    その辺りに静珠を守れなかった遠因があるのかもしれません。

2.2. 飯塚 薫(7/10)/ 8年の間、彼女は何を想ったのか

ドミニオン戦闘隊長として普段は毅然とした態度を取るも、双七君のこととなると狼狽を隠すのに一生懸命な薫さん。彼女を1年以上にわたって陵辱していた織咲病院のゴミ共には殺意が沸きます。ここで気になるのは、薫さんが一定の正気を保ちながら陵辱を受け続けたのかということ。涼一を護るかどうかにかかわらず彼女は蹂躙され続けたと思いますが、その涼一を好きでいられるかは疑問です。教育係としての庇護欲からの昇華ではなく、大好きだから護っているのだと思い込んで心が壊れてないようにする防衛反応でしかないのかもしれません。さらに言えば、病院を出てドミニオンの隊員となってから8年の描写も不足しています。そのため、涼一を背中から撃った裏切りと人妖を殺し続けた罪悪にまみれた彼女が、未だ双七くんの事が好きであることも説明不足でした。前述の思い込みが関連しているのでしょうか。

……さて、薫さんのルートではドミニオンによる涼一の足取り捜査が描かれていました。敵側のエピソードと主人公側を交互に描くので一定の緊張感を持って物語に熱中できました。神沢市への逃亡を確定させたところで、薫さんが裏切り者扱いされるとはなかなか意外な展開でした。

神沢市の病院に逃げてきてからは、すずが悪役となります。他のヒロイン達に対して常に嫉妬している彼女ですが、薫にだけは焼き餅を通り越して憎悪していました。すずが薫を憎む理由がはっきりしている上に、双七への想いの強さがよく現れているエピソードで良かったと思います。

このルートで際立っていたのが加藤教諭の活躍でした。双七が彼を「先生」と自然に呼ぶようになるのも分かる気がします。九鬼とのラストバトルでの振る舞いは、本来は双七の立ち位置だったような気もしますが、格好良かったのでまったく構いません。

雲野長官にはそのヴィジュアルと高圧的な振る舞いから冷徹非情な悪役を期待したのですが、簡単に自首してしまいました。精神操作のみで実効的な攻撃力を持たないとはいえ、もう少し足掻いて欲しいですね。そんな情けない彼は、刀子ルートでは天に出し抜かれ、すずルートでは飛行機から脱出することも叶わず九鬼に喰われます。雑魚ですね。

  • 狼狽

    すずの言霊によって双七との初えっちをカミングアウトさせられてしまうシーンは良かったですね。敵陣の中でパイズリに留まらず3Pに至る辺り、だめだめですね。(「注:ここは戦場です」というイベントタイトルを付けている辺り、スタッフ分かってやっているのでここでは合理性について不問にします。)

  • 1年以上にわたって陵辱

    処女喪失シーンではなく、陵辱になれてしまった薫しか描かれなかったのはある種の救いです。このシーンは主人公にとっても1つの起点でしたが、すずルートでのくるみや刀子ルートでの那美子は集団強姦される必要があったかは疑問です。そういえば、九鬼先生も一奈による息子の陵辱が起点でしたね。

  • 一定の正気

    涼一に悟られない程度には正気を保っていたはず。

  • 背中から撃った裏切り

    一方で、優しい双七君は薫さんが受けてきた苦難を知っているため、今となってはすべて受け入れてしまい、全く怒っていないのでした。

  • 九鬼とのラストバトルでの振る舞い

    九鬼流を見切って解説する虎太郎先生。双七が八咫雷天流を学ぶ一方で、彼も九鬼流に触れていた故の見切りでしょうか。

  • 双七の立ち位置

    師弟対決、悪鬼に堕ちて九鬼流を使えていないことへの指摘、八咫雷天流を学んだ成果の発揮、どれも果たせず仕舞いでした。他のシナリオでも、エピソード単位での有機的なつながりに微妙なズレを感じることがあります。

2.3. 一乃谷 刀子(7/10)/ 恋人の振りから本当の初恋に

幼少期に精神世界からあまり出てこなかったために、他人との付き合い方や距離感に少し極端なところがある刀子さん。恋人の振りであたふたしたあげく本気になってしまったり、常に双七の傍にいるすずを嫉妬したりします。そして、その嫉妬深さが逢難を蘇らせる切っ掛けとなるなど、ストーリーに密接に関わってくるところがいいですね。

刀子さんを悩ましていたストーカーの藤原さんは怖かったですね。彼女の嫉妬と崇拝には影女の血が十二分に発揮されているようです。その対策として双七達は恋人の振りをするわけですが、楽しいイベントも多かったです。「姉川さくら先生の課外授業 ~恋のホップステップダイビング!~」なんてものを開いてみたり、脚本:ウラジミール/監督:トーニャによる茶番演技をやってみたりと、とても楽しめました。

ただ、恋人の振りとふわふわモードの組み合わせはトーニャルートとよく似ています。面白かったので構わないのですが、ここは芸がないと言われても仕方が無いところだと思います。そもそも、ストーカーに対して恋人の振りとは刃傷沙汰となるリスクが高いですし、すずの言霊という便利な能力を使わない手はありません。2人を付き合う振りをさせるための要因以上に藤原さんの存在理由がないのは残念です。

それにしても、双七が逢難を自らに寄生させ刀子を助けてからの展開は面白かったです。やや間延びしていた感はあったものの、主人公が悪役となり双七と刀子が苦悩に苛まれるという予想外の展開には夢中になりました。

刀子ルートは同時に愁厳ルートでもありました。現実世界に兄妹が同時に存在できず、いずれ一方が死ななければならない牛鬼の設定は見事に使い切られていたと思います。互いが互いの幸せを祈って消えようとする兄妹愛の物語でした。双七にとっても、愁厳との友情を取るか刀子への愛情を取るかの選択は、一般的な友情か恋人かの選択に比べて非常に重いものでしょう。

  • 刀子さん

    ヒロインの中で一番胸に無駄な脂肪を蓄えているというのに、「女の価値は、胸などで決まるものではない」などと、どうしてトーニャ達に言えてしまうのか。

  • 嫉妬

    トーニャのロシア風挨拶(キス)に嫉妬するシーンは微笑ましくて可愛いです。

  • 藤原さん

    彼女にも心が壊れる理由(母の淫乱、兄の近親相姦)があったことが示されるのは評価したいです。

  • よく似ています

    このルートでは九鬼先生がバカ弟子を叩き直す師匠として振る舞いました。その意味でも、トーニャルートとの対になっていますね。

2.4. 如月すず(8/10)/ 家族から恋人になるには

耳と尻尾が生えたときの立ち絵がとっても可愛いすず。すぐに癇癪を起こして拗ねてばかりいる彼女を見ていて、楽しいと思ってしまうことが意外でした。双七との絆がそうさせるのだと、納得出来たところが大きいように思います。

ヒロインが主人を好きになる契機が見えにくい本作ですが、すずルートでは双七とすずの関係が兄妹から恋人に変わるまでの過程をしっかりと描いてきました。手作りハンバーグを食べ損ねた辺りからのすれ違いや、自転車での2人乗りは良かったですね。他のルートで、裸を見ても一緒のベッドに寝ていても性的欲求が沸かないことや、家族としてしか見られないことを言及していたこともあり、この丁寧さはとても好印象でした。

すずが記憶をなくしてから織咲病院に連れ去られてしまうでの展開では涙の連続でした。言霊のハンデを背負ったうえでの鴉天狗戦勝利には涙ぐみます。すずを取り返す友情パワーにも泣いてばかりでした。美羽ちゃんが九鬼に立ち向かい戦い抜いたシーンには感動しましたし、刑二郎ともにバイクで高速道路を疾走しながらのバトルも良かったです。七海のマルチタスクにより成功させた刀子さんの煙突飛びからの車を叩き切る場面、続いて対一兵衛戦における「人類最速の居合い切り」も最高でした。

とってもいい娘の姉川さくらですが、ルートの作成が見送られてしまっただけでなく、彼女だけ人妖能力を活かした活躍が出来ていません。決戦前の不自然なえっちシーン以外に、その意味での見せ場があればと思うと残念でなりません。

名前に九尾の鬼となる伏線が隠されていた九鬼先生。人の形を保っている間は(たとえ悪鬼に堕ちても)どのシナリオでも魅力的な悪役でした。道を誤り(強くなった)一奈を殺すためだけに生きていた九鬼先生ですが、さすがにクドリャフカの体当たりで復讐の機会を奪われては誰だって(読者だって)怒ります。せめて、九鬼先生が一奈 を追い込むまでは待って欲しかったですね。

  • 記憶をなくしてから

    金嶺学園の不良学生がバイクで連れ去るわけですが、双七の人妖能力でバイクごと引き寄せることは出来ないのか。咄嗟のことで思いつかないこともあるでしょう。しかし、強姦目的で連れ去った少女を目覚めるまで待っているのは不自然なのではないのか。目覚めたときに大勢の男性に囲まれているという異常事態への反応でも見たいのでしょうか。……結果、すずの貞操が守られたので構わないですけれど。

  • 連れ去られてしまう

    言霊の力を失ったすずを連れてどうするのかと思いきや、最初から寄生する器としての体が目当てだったというのはなかなかのミスリードでした。

  • 言霊

    取り消せない言霊が存在することに違和感があります。尾を切断すると言霊を使役する力がなくなって解放されるのであれば、その力を持って言霊を解放できそうなものです。もっと理論的な補強が欲しいですね。

  • 戦い抜いた

    非戦闘員である彼女がここまでの格好良さを見せるとは予想できませんでした。その勇気は、刑二郎を幼なじみの七海から奪うことにも大いに発揮されています。

  • 七海

    「フェルマーの最終定理を考えるだけで桃源郷」の彼女とは仲良く出来そうです。

  • 刀子さん

    彼女自身のルートよりも大いに活躍している刀子さんでした。

  • ルートの作成

    差別を受けたことなく、両親も健在なさくらは双七と対称的であり、ルートヒロインになれる要素を持っています。

  • 人妖能力を活かした活躍

    美羽ちゃんがあんな頑張りを見せたというのに。醜いと蔑まれる比良賀でさえ、格好良く描かれているというのに。

  • 悪鬼

    醜い欲望のみに生きる人が妖になるところに疑問はあるものの、明治妖怪維新で妖が人となる事が出来た以上は逆側の変化があってもいいかなとは思います。

  • 一奈

    この作品における一番ゴミな人物。彼女ほど酷い悪役も珍しく、特に刀子ルートでの死に際は酷いものでした。

Happy END:約束

織天使薬を使わない選択では、成長した弟子と悪鬼に堕ちた師匠のすれ違いとしてのラストバトルが描かれました。2人の別れ際の会話は、なかなかに感動的な場面です。惜しむらくは、弱点の右目を突く倒し方は薫ルートで披露されているため、いまいち盛り上がりに欠けるところです。

エピローグでは、佐藤のおっちゃんとの再会をよくぞ描いてくれました。優しい彼がいたからこそ、双七達は幸せの日常を手に入れることができたのですから。言霊の扱いについて疑問点があるものの、余韻の残るとてもきれいな終幕でした。

  • 悪鬼に堕ちた師匠

    九尾はどうなったのかという疑問はありますが、胸の内の醜い欲望が消え去れば悪鬼も消えるので、取り込まれたまま一緒に消えたという説明で納得します。

  • 佐藤のおっちゃん

    娘を殺した人妖がとても憎かったおっちゃん。序盤では、すずの人間嫌いと良い対になっていました。

  • 言霊の扱いについて疑問点

    すずが尾を切ったことですべての言霊がキャンセルされるべきと考えます。ただ、件の言霊は、記憶から残さず消すことを指示しているので、あとで思い出せなくても(そのこと自体は)不思議ではないのかもしれません。

Normal END:あやかしびと ふたり

ここまでは、双七がすず(あるいは他のヒロイン)との大切な日常を護るために戦うお話でした。熾天使薬を使うということはその信念を捨て、自らはどうなっても大切な女性だけは護るということです。人のままであろうとしても、妖となってもエンディングが用意されているのは良いですね。

天達の百鬼夜行による国家転覆は失敗しましたが、九尾の狐に戻る野望は阻止できませんでした。最強の生物と最強の無生物の戦いは、やや呆気にとられた面もありましたが、なかなか面白い演出でした。人の悪いところだけを見てきた幻咬と、人の良いところだけを見てきた静珠の争いに決着を付ける意義もありよかったです。

武部涼一のルーツである付喪神のエピソードを挟んでのエピローグ。妖でも人でもない「あやかしびと」の幽世で永遠に2人きりで過ごすというのは、美しく切ないエンドでした。

  • 天達の百鬼夜行

    神沢市を人妖都市とし、妖の血を少しずつ濃くする麻薬を広め、織咲病院では熾天使薬を生産する。なんとも長い間暗躍してきたようです。

  • 国家転覆

    九尾の狐が国家転覆を図るとは、なんともそれらしいですね。

  • 武部涼一のルーツ

    あれだけ人間の優しさに感動する双七が、織咲病院で親しかった人物がほとんどいなかったのは、ここが関係しているのでしょうか。

  • あやかしびと

    妖の身でありながら人の心を持ってしまった者を妖人と呼ぶならば、八咫烏たちはどうなのでしょうか。限られた人としか触れ合わない彼らは妖なのか。人と人妖の境界と違って区別が付けにくいです。

True END:輝かしい日々、再び

天照大神の遣いである八咫鴉は、顔を合わせるごとに口喧嘩していたに双七に体を強制的に譲りました。人妖であることを、すずと暮らす日常を捨てて妖となったのに、簡単に現世に戻れてしまうのでは、やはり引っ掛かるものがあります。ここでは、娘の幸せを願う父親という設定と、幽世でかつての伴侶である静珠と永久に過ごすという意味により、都合の良さを打ち消したハッピーエンドになっていました。

  • 簡単に現世に戻れてしまう

    八咫烏の体を使用するということは、妖(あやかしびと)として現世に戻るということなのでしょうか。



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Last updated: 2013-08-10
First created: 2013-08-03