『ef - the first tale.』感想


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ジャンル インタラクティブ・ノベル
発売日 2006/12/22
ef - the first tale.
評価点
72 / 100
最大瞬間風速 ED(90/100)
総プレイ時間 14.2時間
主人公 7/10
お気に入り 雨宮 優子
ユーザビリティ 9/10 9/10
グラフィック 9/10 9/10
ムービー 9/10 9/10
主題歌 10/10 10/10
BGM 9/10 9/10
ストーリー 7/10 7/10
演出 9/10 9/10
感動 7/10 7/10
読後感 8/10 8/10

(評価点や作品に望むこと等については「レビューポリシー」をご参照ください。)


0. まずは一言
 「どこにでもありそうな身近な話を、絵と計算しつくした演出で印象づける」ことを目指したインタラクティブ・ノベル。学生時代の苦悩や葛藤を群像劇という手法で巧みに描いていると思います。その繊細な演出表現とグラフィック、音楽は私の大好きなminoriでした。
  • 絵と計算しつくした演出
     紘くんのモノローグより。「……話がダメって言わないでほしいけどな。」と続くところが可愛い。新堂凪が描く少女漫画はきっとef第1章のような物語なのでしょう。そして、このセリフのカウンターパートは、京介による次のモノローグ。「難しいこと考えさせるとか、泣かせるとかそういうのはどうでもいいんだ。なんでもいい。観てくれる人の心が少しでも揺れてくれれば――それでいいんだよ」(第2章)

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1. 『はるのあしおと』以上の演出技術で
 夢に向かっていく少年や三角関係に敗れた少女をメインにした成長物語を、双方向の視点から描いた群像劇です。魅力にあふれた登場人物たちの相互作用が織りなす物語はとても綺麗でした。しかしながら、行間に込められている(であろう)彼女たちの想いを、前作と比べてあまり心で受け取ることが出来ませんでした。

 演出面では、グラフィック音楽、視点(カメラ)位置など様々な要素が作品を創り上げています。特に最後に流れる主題歌ムービーは、何回も震えながら見直すうちに涙が出てきました。これで第2部への興味を高められた(あるいは持ち直した)方も多いのではないでしょうか。
  • 魅力にあふれた登場人物
     優子とみやみやが特に。上から目線や天才の悪気のない発言が気に障る人も多いかもしれませんが。
  • 相互作用
     この意味ではとてもinteractiveなのですが、読者にとってインタラクティブなのかはいまいちよく分かりません。みやこが「娯楽はインタラクティブじゃないと面白くない」なんて言いますが、どう解釈すればいいのでしょうか。
  • グラフィック
     明らかにCG枚数がおかしいです。差分なしで約450枚というのは……。
  • 音楽
     久瀬修一のヴァイオリン曲「A moon filled sky」が今回もお気にいり。主題歌アレンジの「Sorrowful feather」の使い方も良かったです。
  • 様々な要素
     ここに挙げていないものにCVがありますが、内容には満足したものの運用方法に2つほど要望が。まず、明らかに主人公=読者という方式ではない作品ですので、主人公の言葉にもCVが欲しいです。また、ヒロイン視点では地の文(モノローグ)にもCVが入りますが、正直これは過剰かと思います。
  • 主題歌ムービー
     サビの部分で屋上を回転しながら映す場面の盛り上がりは異常なほど。この「悠久の翼」はノベルゲーム主題歌の中で最も好きな曲の1つです。

2. 個別シナリオやヒロインについて
 自分の夢や可能性について思い悩む「青春」物語。今までの自分を見つめ直し、その葛藤をどう乗り越えて前に進むかが、本作における「成長」の物語のようです。その一方で、主人公と結ばれない幼馴染ヒロインのその後まで描き切ってしまうある意味では恐ろしい作品でもあります。そのコンセプトはとても面白く、そして嬉しいものでした。
  • 結ばれない
     「選ばれない」という読者本位の表現をやはり用いるべきでしょうか。
  • 面白く
     演出面だけではなくテーマ選択にも表れる“We always keep minority spirit.”の想い。
  • 嬉しいもの
     積年の想いに1つの答えを示してくれる意味もあります。
2.1. 宮村みやこ(7/10)/ Chapter 1. "I'm here now."
(C) minori
(C) minori
 才色兼備だけどいくぶん自由奔放すぎるみやこ。景の練習試合を見に行くだけで訪れる別れは彼女の性格をよく表しています。物語の登場人物としては大好きですが、彼女とお友達になるのは少し疲れそうですね。なお、屋上での宣戦布告と左手を取るシーンは名場面でした。

 この章は、どうしても欲しいものならば、それは自らの意志で誰よりも先に掴み取ろうとしなければならないというお話。……何もしないまま大事なものを失って、決して後悔することの無いように。

 また、主人公が夢を叶えた者の責任に言及する場面も印象的でした。夢を抱くきっかけとなった想い。そんな1番大切な気持ちを思い出せば、また歩み出せるかもしれません。
  • 彼女の性格
     子供の頃、両親に愛情を注がれずに育ったみやこ。「あたしはここにいるのに、無視されるのは嫌」
  • 大好き
     初えちぃ後の朝、2人分のコーヒーを持ったまま泣いているみやこのCGが可愛さと笑いが詰まっていてお気に入りです。
  • 少し疲れそう
     自分の居場所を見つけたみやこは、夢を探すため真面目に学園へ通い始めます。第2章の頃には友達もいっぱい出来ているようでした。紘くんにパロディネタを披露していたように、漫画やアニメの話題で盛り上がったりもするのでしょうか。
  • 宣戦布告
     多くの場面で使われていますがエピソードをしりとり状にしているのがとても面白かったです。(例えば、屋上で紘くんとみやこの関係を「終わらせる」宣言と原稿が「終わった」ときの叫びなど。)
  • 先に
     普段は告白からHに至るまでの期間が短いのはあまり好むところではありません。しかしながら、ここではみやこが明言するように、好きになってすぐ紘くんに体を開く理由があるため高評価となります。
2.2. 進藤 景(7/10)/ Chapter 2. "The flower bloom in the sky."
(C) minori
(C) minori
 第1章でみやこに敗れた景のその後を描くお話。この、選ばれなかった幼馴染が後悔を乗り越えて元気を取り戻していくコンセプトは非常に面白いと思います。ただ、その新しい恋を見つける過程での必然性が、前章に比べるとあまり見えてきませんでした。景が京介をどうして京介を好きになったのかの説明をもう少し前面に出してほしかったです。
  • みやこに敗れた景
     その切なさに興味を持つのは、京介と同じように「人でなし」なのでしょうか。
  • 必然性
     前章ではまったく正反対の性格を持つ紘くんとみやこが偶然出会い恋に落ちたわけですが、お互いが惹かれあっていく様子が丁寧に描かれていました。
2.3. おとぎ話は、ひとつじゃない。/ the first tale
(C) minori
(C) minori
 みやこや景たちの物語は完結したようですが、『ef - a fairy tale of the two.』はまだまだ始まったばかりのようです。本作はあくまでも壮大なプロローグ。あの心震えるムービーが流れた後、夕が優子に語り始めようというところで終わるのはちょっとズルいと感じてしまいました。ミズキをはじめとした伏線がその主題とどう関わってくるかは、後編をお楽しみにというところなのでしょう。
  • ミズキ
     ミズキの笑顔がどことなく優子に似ていると京介や景が感じていますが、この時に優子のテーマをBGMに使うところは面白いと思います。また、第2章最後で旅行を見送る場面で、ミズキ自身も優子に対して何か違和感を覚えていました。景が体育館で優子に説教される場面でもミズキには優子の姿が見えておらず、2人の間には何かあることを仄めかしています。そもそも、彼女の名前だけカタカナという時点で……。
  • 伏線
     例えば、紘が少女漫画を描き始めたのは進藤姉妹の影響ですし、景は妹の千尋とメールで会話していました。

3.1. 心にとどめておきたい言葉

学校と仕事と夢。それから、女の子のこと
全部別のことなんですよ。どれか一つに手がかかるからって、
他のことをおろそかにする言い訳にはなりません
雨宮 優子

大事なものは一つだけとは限りません
あなたがほしいと思うもの、どれを無くしても後悔しますよ
雨宮 優子

どこにでも行けちゃうっていうのは、どこにも居場所がないからだよ
行きたい場所も、帰るところもないっていうのは……
まるで……世界にひとりぼっちみたいだね
宮村 みやこ

特に女の子を相手にするときは、本気で隠したがっていること。
本当は聞いてほしいこと。
その2つを、的確に判断しなければ。
堤 京介

3.2. 関連項目
  1. 関連作品の感想
  2. 外部記事

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Last updated: 2012-07-23
First created: 2012-02-19