『そらうた』感想


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ジャンル アドベンチャー
発売日 2004/08/27
そらうた Vista対応版
評価点
72 / 100
最大瞬間風速 霊子(80/100)
総プレイ時間 23.0時間
主人公 4/10
お気に入り 夕凪 澪
ユーザビリティ 6/10 6/10
グラフィック 7/10 7/10
ムービー 7/10 7/10
主題歌 7/10 7/10
BGM 7/10 7/10
ストーリー 7/10 7/10
演出 6/10 6/10
感動 7/10 7/10
読後感 8/10 8/10

(評価点や作品に望むこと等については「レビューポリシー」をご参照ください。)


0. まずは一言
 傍にいてくれる人の大切さに気付くミステリー風学園ファンタジー。光り輝くものはあまりないかもしれませんが、笑いと感動をまずまず兼ね備えていたと思います。

 そらうた。それは、空に還った者が願った幸せ。そして、残された者が祈った安らぎ。
  • 推奨クリア順
     知夏→(真奈、澪)→葵→?
     明かされる情報量を元に考えるならば、基本的にメニューに表示されるデフォルメキャラクターの順番でいいです。

Attention!!
この感想はゲームをクリアした人に向けて書かれています。
まだゲームをクリアしていない人が読むと、作品の面白さを損なうことがありますので、ご注意ください。

1.1. 夏の片田舎で起こった1つの事件
 香川県観音寺市にある片田舎を舞台に繰り広げられるミステリー風味のファンタジーです。伏線の回収率およびその整合性はかなり高いのですが、その良さがストーリーに巧く結びついておらず、物足りなさを感じます。ここが特によかったという点があまり見られないですが、笑いと感動はそれなりに織り込まれていました。
  • 舞台
     時期は2004年の夏のおわりから秋にかけて
  • 物足りなさ
     加えて、読者の予想を超えた真相がないという理由もあります。
  • あまり見られない
     冒頭の女の子の扱いはかなり好きです。幽霊と会話できるという物語設定を効果的に印象付けるだけではなく、きちんと本線につなげるあたりは秀逸です。この作品で最も評価している部分かもしれません。
1.2. 幽霊との触れ合いを通じて-みいくんが嫌いです-
 本作の主人公ことみいくんは幽霊と会話が出来る霊感体質の持ち主。彼は自分だけにしか出来ないことだと気負い、積極的に幽霊を手助けしようします。それ自体は悪いことではありませんが、傍にいる女の子にこそ優しくしてもらいたいと思いました。特に知夏シナリオでの醜態は見ていられません。

 また、幽霊が空を上っていくたびに無力感を積み重ねたという主人公。その経験から激しく心が震えなくなったという設定ですが、残念ながら十分に活かされていない様に感じました。実際にはそのようなことはなく、単純に他人の気持ちが分からない年相応の学園2年生だった様に思います。そのため、魅力に欠けた主人公を各ヒロインが好きになることについて(個々に理由付けが可能なものの)疑問に思うほどでした。
  • 霊感体質
     あくまでも霊と対話できるというだけで、死生観について踏み込んでいるわけではないようです。
  • 知夏シナリオでの醜態
     知夏シナリオにおける9月9日の主人公の言動は、もはや即アンインストールも辞さないレベルでした。澪シナリオくらいであれば「こいつバカだなー」と呟くだけで終わるのですが、女の子に暴力はいけませんよ。
  • 心が震えなくなった
     無力感と心が震えないことの因果関係は理解しがたいものがあります。また、好きという気持ちを理解できないことと、好かれている事実を理解できないことは似て非なるものです。この設定を加味しても、ここまで鈍感な主人公は珍しいと思います。たまねえが知夏ちゃんの好意を伝えても理解できないあたり相当重症なようです。
  • 年相応の学園2年生
     屋上からの飛び降り自殺があった割には、あの学校の緊張感のなさはちょっと考えられないですね。

2. 個別シナリオやヒロインについて
 本作のテーマはおそらく次の2つでしょう。
  • いつも一緒にいるだけじゃ、お互いの気持ちって分からないよ
  • 一人を好きになり過ぎると、周りが見えなくなるのですね
全体的な意味では、心が壊れたと称する主人公が本当に新しい生を獲得するまでのお話でもあります。

  また、この作品をぶち壊しにしている要素が、理解に苦しむタイミングで発生するえちぃイベントです。ほとんどのシーンが必要なく、むしろ無い方が良いと感じるものばかりでした。
2.1. 佐倉知夏(6/10)/ 頑張れ知夏ちゃん
 よく笑わせてくれた幼馴染みの知夏ちゃん。彼女の一途な想いはなかなか届きませんでした。好きな人に振り向いてもらえず、信じていた者に裏切られたときの悲しみはよく表現されていたと思います。一方で、道隆は不自然なまでに鈍感であり、挙げ句の果てに暴言・暴力を振るった彼を糾弾しないわけにはいきません。

 実際のところ、知夏にも自分勝手なところが多数あり、道隆が彼女の想いを無視している程度でしたら、そこまで問題ではないと思っていました。しかしながら、彼の幼稚な逆上は人として問題があると思います。さらには仲直りの翌日、登校中の知夏を雑木林に連れ込み性行為を強要しました。このように反省の色が全く見えない彼を許すべきではないと思います。このシナリオは、知夏に対する主人公の態度が2段階で酷かったことで全てが塗りつぶされてしまいました。
  • 知夏ちゃん
     彼女と言えば"Ciao, sorella!"ですが、これは"Hello, sister!"に相当します。
  • 一途な想い
     「恋は盲目」とよく言いますが、彼女は道隆のどこが好きになったのでしょうか。ある意味では、「人を愛しすぎること」という物語全体テーマに関わっているとも言えます。 
  • 鈍感
     それは、事件の捜査においても同様。事件の全貌はあまり明らかにならず、彼の洞察力の低さが目立っていました。 
  • 自分勝手なところ
     「親しき仲にも礼儀あり」と言いますが、その意識が欠けているだけではありません。消し炭となった朝食を食べさせようとする時点でそこに愛は無く、主人公の捜査も邪魔ばかりしていました。 
  • 幼稚な
     精神的に幼い彼はたまねえと知夏に甘えてばかりでした。しかし、知夏を馬鹿にする気持ちの強い彼は、それを認める事が出来ません。 
  • 仲直り
     ノートの件で友達を止められず、理由をはっきり答えられなかった知夏も確かに悪かったかもしれません。また、道隆が澪ちゃん(と永澄さん)を強く想うこと自体を責めるわけではありません。 
  • 性行為を強要
     「舐めてくれないと、恋人と認められない」と言って口淫を強要する道隆には殺意を抱きました。よくも「絶対優しくするって決めたんだ。知夏が嫌がる事はしないよ」なんて言えたものです。 
2.2. 永澄真奈(6/10)/ 「そっかなのよ」と呟く幽霊
 夜になるとパジャマ姿に着替えるところが何となく可愛い真奈。死んでなお澪のことを案ずる彼女はとても優しい少女でした。オリジナルの絵本を小道具にした全体的な組み立ては良かったと思います。また、まだ真奈と話せることについて、道隆が澪に真実を伝えるか否かの悩みにも少し心を動かされました。しかしながら、エピローグはやや都合が良すぎるため、別の場面を描いた方が良いと感じました。
  • 別の場面
     澪と2人で真奈との楽しい思い出を語り合いながら青空を見上げている場面はいかがでしょうか。たとえ、転生後の真奈を描くにしても、主人公に気付いて振り返る程度で終わらせておくべきだと思います。
2.3. 夕凪澪(7/10)/ 不運なおしっ娘
 健気でとっても可愛いかった澪ちゃん。彼女のシナリオが1番すっきりとした物語でした。道隆を好きになり、親友のことを忘れかけて気に病んでしまう澪。心が移り変わることは、とても残酷なことかもしれないけれども、それで良いのだと思います。思い出すことを忘れてはならないですが、忘れることも思い出さなければなりません。たまに2人で空を見上げながら思い出すくらいで、本当はちょうど良いのですよ。どことなく真奈に似た子供に絵本を読み聞かせるエピローグは、真奈シナリオよりも好みです。
  • おしっ娘
     いや、特におしっこ属性はないのですが、最終シナリオでの伏線回収率を鑑みると、この辺も澪シナリオのどこかで活かしてくれればよかったと思わざるを得ません。
  • 澪ちゃん
     こういうキャラクターにまきいずみさんのCVは本当に相性いいですよね。
  • 1番すっきりとした物語
     そうはいっても、真奈シナリオとの文章レベルでの重なりは勿体なく、やはりそれは避けるべきでしょう。
  • 道隆を好きになり
     心の防御反応と言えなくもないですが、真奈のことを忘れるくらい夢中になる相手を見つけられたことは、とても幸せなことです。なお、このシナリオでも主人公の意気地なしを通り越した言動ならびにどうかしているえちぃシーンには呆れ果てました。
2.4. 瀬戸内葵(7/10)/ 列に戻れた記憶喪失の少女
 物静かで大人びていた葵ちゃん。これまでのシナリオでさらりと触れられていた彼女の霊感と、記憶喪失の意味が結びついてからはとても面白かったです。事件の真相に迫る場面も多々あり、物語全体としてもバランスが良いシナリオだったと思います。恋愛感情については道隆の自覚が早すぎたような気もしますが、魂の入れ替わりや強制的な別れまで十分に楽しむことが出来ました。惜しむらくは、別れのシーンが少し間延びしていたことでしょうか。なお、エピローグにあるように、死別した恋人の姿を見続けるのはとても辛そうです。道隆が瀬戸内さんに、記憶をなくしていた3ヶ月のことや守護霊のことを話せる日はやってくるのでしょうか。
  • 物静か
     反魂の術の影響でしょうか。激しく心が震えることがないという主人公の設定が機能していればあるいは……。
  • 早すぎた
     教室でアルバムを見返す姿に心動かされたとのこと。こうなると想いが通じなかった知夏ちゃん可哀想ですよね。
  • 別れのシーン
     エピローグで十分補完可能ですので、ここは「さよなら」のタイミングをもう少し早めても良かった様に思います。 
2.5. 小西霊子(7/10)/ ちょっとブラコンが過ぎるお姉さん
 「おだまる」という口癖が似合うたまねえ。解答編とでも言うべき霊子シナリオですが、これまでに与えられた多数のヒントから、大筋は事前に予想がついてしまいました。それでも、冒頭の女の子の再登場に始まり、双子の妹の存在という最後のピースが与えられてからは大きな盛り上がりをみせました。「言霊」の使い方がとても巧く、忘れかけているレベルの伏線回収の答え合わせまで、あっさりしつつも良い終幕だったと思います。

 エピローグの最後でたまねえと夕空を見上げる道隆。彼の目が初めて描かれるのは、彼が心を取り戻したことの表れでしょうか。ラストワード「その日以来、ボクは幽霊を見ていない」というモノローグにより、とても心地よい余韻に浸ることが出来ました。

 ……ただ、冷静になって物語を振り返ると小西家の祖母、真奈、葵など彼女たちの死はやはり悔しいものであって、天使の羽をもって綺麗に描かれすぎた薫先生の死はやるせないものでしょう。また、真相が明らかにならない霊子シナリオ以外では、事件は全く解決していません。その後、知夏が襲われどのような結末を迎えるかは読者の想像次第ですが、本作の物語構成はこれらの弊害を内包しています。そこを気にしすぎてしまうと、後味の悪さが残ってしまうかもしれません。
  • 多数のヒント
     薫先生の言動には冴木先生の行動を手助けあるいは利用する意図が明白でした。ただ、この時点では主犯であることは分かっていても、その理由(Why done it?)までは気付いていませんでした。また、主人公の甦りについても予期はしていたため、残りの関心事項はどこでそれを明かすのかと言うことでした。
  • 最後のピース
     9月21日に女の子から双子の姉がいると明かされた段階で、薫先生のことだと察しが付けば全ての条件はクリアですね。この時点で女の子の名前を「ともか」と気付くのは難しいかもしれないですが。
  • 「言霊」の使い方
    • 「せきうちあおい」という名から別の魂が入っていることに気付く(9月11日)
    • 「ともか」という名にから入れ物を見つけて動揺(9月6日)
    これらの真意に気付いたときの衝撃。
  • あっさり
     事件の真相およびたまねえとの恋愛が、主人公の反魂に置いてしかクロスしなかったところに原因はあるのかもしれません。
  • 霊子シナリオ
     シナリオ開始時の状況説明で何となく現状を把握できてしまうあたり、ノベルゲーム脳を試される、あるいは自覚する導入でもありましたよね。

3.1. 心にとどめておきたい言葉

大事にしてもいい、と思った人には、限りなく優しくすること
小西 霊子

3.2. 関連項目
  1. 外部記事

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Last updated: 2012-07-28
First created: 2012-07-21