『青い涙』感想


ブランド CDPA
タイトル 青い涙
ジャンル 恋愛アドベンチャー
発売日 2003/05/30
評価点
68 / 100
最大瞬間風速 ミルカ(80/100)
総プレイ時間 18.4時間
主人公 5/10
お気に入り 日比野 さえか
ユーザビリティ 6/10 6/10
グラフィック 6/10 6/10
ムービー 6/10 6/10
主題歌 6/10 6/10
BGM 7/10 7/10
ストーリー 7/10 7/10
演出 6/10 6/10
感動 7/10 7/10
読後感 8/10 8/10

(評価点や作品に望むこと等については「レビューポリシー」をご参照ください。)


0. まずは一言
 母からの無償の愛、家族間の情の素晴らしさを描いたお話。短い「愛」が終わらずに「情」となるとき、それは掛け替えのない絆となって残ります。

Attention!!
この感想はゲームをクリアした人に向けて書かれています。
まだゲームをクリアしていない人が読むと、作品の面白さを損なうことがありますので、ご注意ください。

1.1. 手法に戸惑いながらも
 韓国スタッフによって作られた作品であることからか、日本人の常識や実情とはややずれた描写がわずかながら見られます。独特な日本語感はあまり気になりませんが、地の文(モノローグ)が断りもなく一人称視点から二人称視点へと切り替わるため読みにくいと感じた場面もありました。テロップ演出もやや過剰気味です。音楽面では「Deep sorrow」「哀愁」などの感傷的な楽曲がとてもよく、未来を感じさせる「絆」も好きです。しかし、残念ながら音楽モードのような自由に聞けるシステムはありません。
  • システム
     他にも既読スキップがキーボードのみしか選択できない、タイトル画面に戻らないと終了できないなど、システム面には不満があります。
1.2. 勇介君が嫌いです。
 本作において1番の不満点を挙げるならば主人公こと勇介の言動でしょうか。倫理観と相手の気持ちを察しようという努力が欠けていました。彼の立脚点を鑑みれば、ヒロインと再会して叫び声をあげるのは当然で、その後の言動にも一定の理解はできます。しかしながら、読者としてはそれを容認することはできても、楽しめるかと言えばまた別の問題になります。優柔不断なところもマイナス印象です。

2. 個別シナリオやヒロインについて
 本線のテーマは「愛」と「情」の違いですが、傷を癒すための死後世界としての夢幻を描くことで死生観にも触れています。

 謎解きやヒロインを好きになることよりも、母親の愛に重きを置いた本作。個別ルートにおいてヒロインごとに舞台を書き分けることで幅を持たせようとしていますが、終幕の展開が文章レベルで似通っているため面白味が半減しています。個別ルートはさやか(あるいは彩)だけプレイし、すぐに本編を終えて読了とした方が楽しめるかもしれません。
  • 夢幻
     つまり、すべてのサブヒロインはすでに死んでいることになります。彼女たちのルートは現実での彼女をもとに構成したシエによる仮想世界なのですね。
2.1. 白鳥雪江(5/10)/ お天気お姉さん
 11歳で盲目となった雪江。彼女のお話はいまいち楽しめませんでした。(初めに読んだ個別ルートということもあり)主人公の不可解な行動について行けなかったことが、最大の要因に思います。勇介との出会いによる著作の変化や、誰かが側にいてくれることの喜びとその人に裏切られることの辛さなど、見るポイントはあったと思うのですがあまり興味が湧きませんでした。
  • 雪江
     勇介に本名を呼ばれた時の白鳥先生や柏木家の反応がかなり薄い気がします。実際にはもっと追及されるものではないのでしょうか。
2.2. 日比野さえか(7/10)/ お喋りでゲーム好き少女
 言葉を話すことが出来ないさえかさえか。彼女との再会は衝撃的で、CV付きで無いことを非常に惜しく思う場面でした。勇介の言動に不満があるのは変わりませんが、彼の言葉に飾り気がないと周囲の女性が評していることが少し救いでした。その後のデートでは、彼女のスーツ(制服)姿がとっても可愛かったです。ただ、クライマックスの別れのシーンは、衝撃が大きいだけで全く訳が分かりませんでした。緊急搬送される時間のずれと、目覚めた後の綾香についてもっと説明が欲しいです。

 なお、このルートと本編のつながりは勇介がさえかに初めて送ったメール。「泣きたい時は泣いていい」とは、涙を捨てると宣言したマノに対するミルカの想いでした。
  • 言葉を話すことが出来ないさえかさえか
     「わたしは喋っている自分が好き……人がお互いに話し合えるって、なんて素敵な事なんだろう!」 
  • デート
     デートでラーメン屋に行くのもどうかと思います。そもそも、夢幻篇でさえかは料理が得意ということを勇介は知っているのですから、さえかから「ご馳走する」と聞いて美味しい店を紹介してくれるという発想に結びつけるのはおかしいのですよ。 
  • 目覚めた後の綾香
     死後の世界である夢幻で傷が癒されたことにより、転生したさえかと勇介が来世で結婚した、というような状態でしょうか。
2.3. 工藤晴子&もえみ(6/10)/ 仲睦まじい親子
 娘を死なせてしまった晴子。主人公の物わかりの悪さと言いますか、「夢幻ではお知り合いでした」という考え方がとても煩わしいお話。もえみの死はショックでしたが、この状況で「産んでくれてありがとう」に繋がるとなるとかなり疑問です。なお、母を選ぶかそれとも愛する女性を選ぶかという本編に通じる描写がありますが、「情」を大切にすべきという主張を回想編のように説得力もって描くことはできていませんでした。
  • 夢幻ではお知り合いでした
     彩ルートで「夢幻の丘の勇介」は知っているが「柏木雄介」は知らないという説明があります。この(前世の)記憶が情であり絆なのだそうですが、いまいち分かりませんね。
2.4. 志水彩&ジン ユリ(7/10)/ 守り合う2人
 友達を自殺に追いやってしまった彩。彩に付きまとう主人公に疑問は尽きませんが、上級生に反抗して見せる態度は彼の設定をうまく活かしきっており、受け入れやすかったです。出来のいい妹の恵と学校生活を送れるという面でも貴重なルートだったと思います。屋上にてユリがポルターガイストであることが分かる場面まで、それなりに楽しむことが出来ました。
  • 学校生活
     おかしな制服デザインはノベルゲームでよくあることですが、あんなにもおかしい上着とネクタイは初めて見たように思います。
2.5. ミルカ(7/10)
 一途に息子を想い続けた純粋なミルカ。少々ねじが足りないこともあり、彼女が視点者となる回想編ではあまり好きになることはできませんでした。しかしながら、マノとの別れのシーンで1000を何度も数えて息子を待つ姿には胸を打たれました。さらに、真回想編での膝を抱えて座るミルカの1枚絵や、息子を守るため「私には、息子はいません……!」と何度も叫ぶ場面は琴線に触れるものでした。理屈ではない母の愛を大きく感じました。
2.6. 藤原マナ&シエ(7/10)
 深淵の呪いにより不老不死となったシエトリエ。3000年という長い時間想い続けたシエの絆によって2人は再会していたのでした。これまで現実だと思っていた4名のサブヒロインのルートは深淵であり、すべて彼女が作り出した夢幻の一部でした。再会から18年、シエの傷を癒した勇介は「青い涙」を流して目覚めます。静恵が勇介を抱きしめる姿がミルカとマノに重なり、とても余韻溢れる素敵なエンディングだったと思います。
  • 夢幻の一部
     深淵の呪いから一時的に抜け出している時点でサブヒロインルートはおかしいので、整合性を取るにはこれくらいの処置が必要なのでしょう。
  • 青い涙
     「血の涙を流す」という比喩表現と色弱を掛け合わせた表現だと思っていましたが、本当に赤い血の涙を流すとは少し予想外でした。勇介の青さにも掛けているかは分かりません。
  • 静恵
     ミルカの生まれ変わりとしての夢。

3.1. 心にとどめておきたい言葉

喜びも、悲しみも、恐ろしさも、愛も……
みんな人間が生まれたときから持っているのよ。
こんな感情はみんな……自分自身だけのものなの。
でもね……情は違うの……
人のために自分を犠牲に出来る人たちにだけ生まれる……感情なの。
少女

3.2. 関連項目
  1. 外部記事

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Last updated: 2012-06-30
First created: 2012-04-23