『みずいろ』感想


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ジャンル 恋愛アドベンチャー
発売日 2001/04/13
みずいろ 初回版
評価点
72 / 100
最大瞬間風速 雪希(85/100)
総プレイ時間 18.8時間
主人公 6/10
お気に入り 片瀬 雪希
ユーザビリティ 5/10 5/10
グラフィック 7/10 7/10
ムービー 7/10 7/10
主題歌 8/10 8/10
BGM 8/10 8/10
ストーリー 7/10 7/10
演出 6/10 6/10
感動 8/10 8/10
読後感 8/10 8/10

(評価点や作品に望むこと等については「レビューポリシー」をご参照ください。)


(C) ねこねこソフト
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0. まずは一言
 学園恋愛アドヴェンチャーにおける「普通」を目指した作品。雪希を好きになれればそれで十分です。描かれる「普通」の日常はたしかに退屈かもしれません。しかしながら、普通こそ掛け替えのないものであることを、本作は2つの面から教えてくれました。
  • 「普通」
     発売から約11年たった今プレイしてみても、それはやはり「普通」でした。ルートヒロインは自然と主人公のことを好きになる都合のよさ。女の子は全員処女で、皆が過去にトラウマを持ち、可愛い義理の妹と幼馴染と愛の奇跡が登場する、そんな「普通」の物語世界。

Attention!!
この感想はゲームをクリアした人に向けて書かれています。
まだゲームをクリアしていない人が読むと、作品の面白さを損なうことがありますので、ご注意ください。

1.1. 退屈で平凡で、とてもつまらない「普通」な日常。だけど……
 一日たりとも欠けることなく「おはよう」から「おやすみ」まで描かれ続ける日常は、ヒロインに感情移入できないと退屈かもしれません。読者を驚かせる特別なものは確かに少ないかもしれませんが、そこに込められた想い(伏線)を顧みると見違えるほど輝きます。また、「普通」の日常のおかげか、終盤の盛り上がりがとても際立っています。ヒロイン視点で明かされる長年の想いは胸をふるわせてくれました。
  • 日常
     季節は冬。バレンタインデー以外にも、もう少し冬を意識した要素を積極的に取り入れてもいいかもしれません。「寒いならコート着れば?」と冷静に指摘していくとキリも意味もないのでやめますが。
1.2. 過去編による共通シナリオの排除
 他の作品と比べて唯一「普通」ではないのが、過去編におけるルートヒロインの決定でしょうか。ここでの主人公による(きまぐれな)行動次第で、ヒロインの性格に多大な影響を及ぼします。登場人物の立ち位置を変えつつも矛盾のない物語世界の作るというのは面白いアイディアでした。
  • 唯一
     もう1つ挙げるならば音楽が素晴らしいということ。ボーカル曲「みずいろ」「ごめんね・・」以外にも「鳴る高架線」「スカーレット」など素晴らしいBGMがいっぱいあります。放課後テーマの「じゃあね」は学校のチャイム音(ミドレソー、ソレミドー)を意識したイントロになっていて面白いです。

2. 個別シナリオやヒロインについて
 偽りの幸せの上に成り立つ日常と、その悩みを乗り越えることが本線。彼女たちの想いが日常にどのように反映されているかをじっと見守る作品でした。
2.1. 片瀬 雪希(8/10)/ 守りたいと願っていた笑顔
(C) ねこねこソフト
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 マイシスターこと素直で可愛い妹の雪希ちゃん。本作におけるウェイトの大部分は、一途な彼女の(理想化された)可愛らしさで占められているような気がします。雪希との登校場面の気合の入り方は異常です。もっとも、雪希シナリオ以外の方が(妹としての)魅力を発揮しているかもしれません。日和シナリオなどで勘違いしたり照れたりする雪希はとても可愛かったです。

 雪希の物語はまず、お兄ちゃんが妹を笑顔にしようと頑張るプロローグがとても心にきました。そのため本編の日常が(初読時に)少し物足りなく感じられましたが、雪希が健二と日和の2人を笑顔で見られなくなっていくところからは物語に強く引き込まれました。

 彼女の視点で明かされる後ろめたさや日和との隠れた約束。「私だけの優しいお兄ちゃん」を拠り所にする場面など、雪希ちゃん視点で描く切なさには胸が震えました。雪希の左手薬指にみずいろの指輪をはめて3人で泣く公園のシーンでは、様々な想いが交錯する中で危うく(日和に)もらい泣きするところでした。水色の指輪と手紙、そして「お帰り」で締めくくられるとても綺麗なエンディングです。
  • 気合の入り方
     冬の澄んだ青空を表したような「みずいろIns」と美しいCGに彩られた「普通」の日常。 
  • 笑顔
     幼少期の雪希は特にですが、淡い色遣いのCGで描かれた雪希の笑顔はとても可愛く思います。 
  • 笑顔で見られなくなっていく
     2月8日以降を指します。 
  • 隠れた約束
     健二の隣は交互にという約束が反映されていることを思うと、ただの日常シーンも変わって見えてきます。 
  • 拠り所
     挿入歌『ごめんね・・』が流れる中で、2人を笑顔で見ていられた理由として優越感を自覚しそこで「嫌な子」だと思い悩む優しさがさらに辛いです。 
  • 日和に
     主人公のことが大好きなのに、雪希ちゃんのために身を引く彼女。この場面は、引っ越しを決断する幼少の日和に通じるものがあります。 
  • お帰り
     こういった日常の連続は大好きです。
2.2. 早坂 日和(8/10)/ 普通となった非日常
(C) ねこねこソフト
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 ポンコツ幼馴染ことメインヒロインの日和さん。「う゛~う゛~」と煩い彼女を残念ながらあまり好きになれませんでした。しかし、日和・雪希2人のシナリオ終盤で描かれる彼女の想いだけは別です。クローゼットの引き出しにチョコレートを隠し、日和一家の引っ越しに同意する彼女の気持ちを想うと胸が苦しくなります。

 なお、ストローリングをきっかけに泣き出すシーンは、お約束ではありますがどうも蛇足に感じてしまいます。みずいろの「すきです。けんちゃん」のメッセージが感動の最高点であったため、再会は健二が病室のドアを開けて日和が振り向くあたりでちょうど良いとよいと思います。
  • 非日常
     日常の連続性と平凡性。日和が現れることのなかった2月14日、健二の描写はとても良かったです。 
  • メインヒロイン
     どちらかと言えば、雪希の方がメインだと思っている今日この頃。 
  • 引っ越し
     主人公による選択肢1つで引っ越しするか否かが決まるため、最初は整合性がとても気になりながらのプレイでした。(オープニングで名前が登場せず、日和の席には見知らぬ緑髪の娘が座っているなど、訳がわからないスタートでもありました。)実際には、日和の意思とそれに多大な影響を与えた主人公の関係が明らかになり、得心するとともにとても大きな衝撃を受けました。 
  • 健二
     1人コーヒーカップ、1人ストロージュースをこなしてきた主人公。彼はもうこの街では生きていけないのではないかと心配したくなります。
  • 日和が振り向く
     幽霊の日和は病室で寝ているときだけ健二の自宅に現れる設定でした。何はともあれ、日和が生きていてくれて本当に良かったです。
2.3. 神津 麻美(6/10)/ 心を閉ざして描き続けた日記
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 お餅が大好きな麻美先輩。会話に間が開きすぎる彼女の話し方は少々苦手でした。幼少期にクラスメイトから「のろまだから面白くない」と避けられるのも分かります。しかしながら、公園で出会った捨て猫が唯一の友達というのは涙を誘いますし、心を閉ざして偽りの冒険譚を綴った日記は胸を打ちました健二にとっては気まぐれでも、声を掛けられた彼女はとても嬉しかったのでしょう。
  • 捨て猫が唯一の友達
     クラスメイトと同様にのろまと思っていながら彼女を可哀想に感じてしまいます。これはダブルスタンダードであり偽善なのかもしれません。 
  • 健二
     歩く速度が知らないうちに麻美先輩に合わせて遅くなる日常は良かったです。
2.4. 進藤 むつき(7/10)/ 私を見てほしい
(C) ねこねこソフト
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 ヒロインとなるかどうかで180度性格が変わる進藤さん。どちらかと言えば、はっきりと言いたいことを言ってくれる「やかま進藤」の方が好みです。いつも健二に叩かれて可哀想な目に遭っていますが、いくら喧しくても無暗に女の子に暴力をふるう彼は許されません。

 「おとな進藤」の物語ですが、遅くともレーズンクレープのエピソードまでには姉との入れ替わりに気付くと思います。しかし、これは読者にあえて気付かせた上で、妹(さつき)の心の揺れを見ていくものでしょう。「むつきちゃん」と健二に呼ばれるたびに心を痛めるさつき。彼女を見ているのが徐々に辛くなっていきました。2つの花火はとても感動的でしたし、水色のリボンを贈る終幕は(名前を明かさないところまで含めて)とても綺麗でした。
  • レーズンクレープのエピソード
     4日目(2月1日)の放課後イベントにて。勘が良い人は0日目(過去編のキス)で気付くと思います。 
  • 姉との入れ替わり
     すでに姉は死亡しているのかと不安で仕方ありませんでしたが、全寮制の学校へ進学してくれていて良かったです。 
  • さつき
     むつきが登場するのは過去編のみなのに、マニュアルに嘘のヒロイン名を書いてはいけません。本名に気が付かないというのはさすがに無理がある、とまでは言いませんけれども。
2.5. 小野崎 清香(6/10)/ これからは素直になれるといいね
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 結び目から約60cmも伸びるリボン(?)を愛用する味音痴の清香。他ルートで喧嘩友達として登場するのはまだしも、砂絵製作のために軟禁されるのはあまりいい気がしませんでした。徐々にお互いのことが気になっていく様子は少しずつ描かれていたものの、誕生日とおかあさんの話題を只々先延ばししているように感じられてしまいました。
  • 味音痴
    料理下手なヒロインは練習すれば何とかなるかもしれませんが、本人が美味しいと思っているものを直させるのは大変なことですよ。 
  • あまりいい気がしません
    加えて、主人公が清香の秘密を探るため加減を知らずに画策することも不快でした。 
  • おかあさん
    緑髪の母親と金髪の娘というところに意味があってよかったです。 
  • 先延ばし
    お義母さんに対する意地と、「あんたなんかに分かるわけない」という雨の中での叫び。彼女の想いの強さ自体は決して悪くありませんでした。
2.6. みずいろ
 自分の大切な人が隣にいてくれること。それは、普通であり、特別であり、そしてとても大切で素晴らしいこと。それだけは、離れえぬよう、ながされぬよう、ぎゅっと。
  • 普通
    普段意識しないこと。無くして初めてわかるその大きさ。


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Last updated: 2012-06-15
First created: 2012-02-09